②推しのマネージャー志望です!

「…ま、そこが先輩の良いとこか」

ポツリと意味深に呟いた心雨の声はおそらく近くにいた俺にしか聞こえていない。

あまり人を褒めることがないヤツだからこそ、その発言に驚いた俺は視線を心雨に移した。

その瞬間、満面の笑みを浮かべる心雨が目に飛び込んでくる。

それは一見、子どもなように無邪気であどけない表情に見えたが…。

俺は知っている。

こういう時の無害そうな心雨が1番何を考えているのかわからないことを。

あまり口に出すとイメージ崩れてしまうが、正直な所SAISONメンバーの中でいちばん計算高いのは心雨だ。

初対面の時の瑛茉ちゃんへの態度を思い出してもらえばわかるだろう。

良く言えば、何事も白黒ハッキリしていて迷いがない。

悪く言えば自己中でワガママ…。
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