②推しのマネージャー志望です!
別に俺自身、八代瑛茉のことが嫌いなわけではない。むしろ今まで俺がしてきたSAISONメンバーのスケジュール管理をしてくれているし感謝すらしている。
でも、自分自身を任せようと思えるほど彼女のことを知らないし、信頼していないのもまた事実。
さて、有羽になんて返信しようか?
そう迷っていた矢先。
「翔兎くーん。そろそろ出番だよ〜」
楽屋の入り口が開き、スタッフさんから声がかかった。
「…はい!行きます!」
俺はスマホを急いで鞄に戻し、スタッフの後ろについていく。
今日の仕事は、とある学園ドラマのちょい役。セリフも3つしかない。
ただ、俺はこの撮影を数週間前から楽しみにしていた。
撮影現場が近づくに連れ、ドキドキと高鳴る鼓動。
そして、現場に足を踏み入れた瞬間に空気が変わるのを感じた。
「はい。次シーン23、玲央くん、さっきのセリフからお願いねー」
「了解です!」
監督の指示に笑顔で手を振る彼、このドラマの主役を演じる高木玲央さん。