しののに愛を
だけれど、人間は不条理という棒が頭からつま先にかけて突き刺さっているから。
神様という存在はどうも頭が固いようで、そう簡単に人生を終わらせてはくれない。
じゃあどう「そう」したら終わりに行けるのか、難易度が高すぎて見上げることだってさせてもらえないのだから、やっぱり神様に柔らかいところというのはひとつさえ無いのだろう。
「海の中にいるお姫様みたいに、誰かを想って泡になりたい。柵を越えて飛び降りるよりも、車の前に飛び出すよりも、ベッドに張り付いて息を荒らげるよりも、一番優しい音がすると思う。
...泡になって溶けて、海の奥底、誰の手にも届かないように沈んで沈んで、そしたら心の中の恋心は誰にも触れられずに自分のものなの。
それって素敵だよ、純愛って呼べるよ」
そしてハッピーエンドも飾れる。想像して百点満点花丸つきの回答だと自負できた。
海に花は育たないけれど、綺麗な生き方で、綺麗な消え方。
そんな答えを、じゃあ果たして彼は何点を突きつけてくるか。