Cherry Blossoms〜偽りの絆〜
「うわぁ〜、どんな講演にするか考えないとな!」

ヨハンが緊張したように言い、クラウディオが仕事が終わった後にどこかのお店に集まって話そうと提案する。

「四月一日先生、ヨハン先生、講演頑張ってね!こっちのことは心配しなくて大丈夫だからね!」

救急科のチーフである黒田庄司(くろだしょうじ)がニコニコと笑いながら言い、桜士も「僕がお二人の分、頑張ります!」と笑いかける。公安と潜入調査を両立するのは難しい。猫の手も借りたいほどの忙しさだ。だが、今はそのようなことを気にしてはいられない。

(好きな人の役に立ちたい)

ただそれだけの感情で、桜士は言葉を口にしている。十の前では決して見せられない姿だ。内心、そう考えている桜士の前で、一花が深々と頭を下げた。

「本田先生、黒田先生、ありがとうございます。精一杯頑張ります」

ふわりと、花が一輪咲いた。



それから、一花とヨハンは救急科での仕事をしつつ、講演で話す内容を考えたり、話す練習をしたりするようになった。
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