Cherry Blossoms〜偽りの絆〜

桜士は本田凌の人当たりのいい笑みを浮かべつつ、一花のことを分析する。彼女がコートの下に着ているのは、チョコレートを思わせるブラウンのワンピースだった。クリーム色のシャツにはブラウンのリボンとボタンがついており、その上にブラウンのワンピースを着ている。

可愛らしい格好だ。デートだと言われても不思議ではない。緊張を覚えながら、桜士は訊ねる。

「四月一日先生、お一人で来られているんですか？」

「いえ、違いますよ」

すぐに否定され、桜士の緊張はさらに増す。一体相手は誰なのだろうか。一花に恋人がいないことは知っているものの、気になっている人がいるかいないかまではわからない。すると、「おい、何してんだよ」と言いながら一人の少年が近付いてくる。一花よりもかなり歳下のように思えた。

クリーム色のスウェットにブラウンのスラックスサイズのパンツを履き、ダウンベストを着ている黒髪の少年は、桜士を睨み付ける。

「お前、誰？こいつに何か用？」