Cherry Blossoms〜偽りの絆〜

少年がそう訊ねると、「こら、人のこと睨まないの！」と一花が少年の頰を軽くつねる。少年が不服そうな顔を見せる中、桜士は「いえいえ、大丈夫ですよ」と笑いかける。

一瞬、少年が一花のデートの相手ではないかと桜士はドキッと心臓が跳ね上がったものの、二人をよく見ると目元などが似ているため、身内だろうと冷静になった。

そこへ、「こら〜！姉ちゃんのこと、「こいつ」なんて言っちゃダメでしょ〜？」と言いながらブスッとした態度の少年と瓜二つな顔の少年が現れる。服装が色違いというだけで、顔のパーツも身長も何もかもが同じだ。

「四月一日先生の弟さんですか。そういえば、双子だと言っていましたね」

桜士がそう言うと、一花は「はい、そうです！覚えていてくださったんですね」と嬉しそうに頰を緩ませる。そして、弟二人の方を向いた。

「六歳下の弟です。ほら、二人とも挨拶をちゃんとして。こちらは私の働いている病院の先生よ」