愛していますよ、だから幸せになってくださいね!
「もしかしたら見送りに来てくださったのですか?」
私から殿下に声をかけました。
「……謝りたいことがありすぎて何から話せば良いか分からない」
「はい」
「父上にミシェルと婚約したいと言ったら反対されたけど、本当は私が臣下に降れば婚約は出来たんだ。でも王族から抜けるという決断が出来なかったんだ。愛していたのに、身分に拘り受け入れなかった。兄上の話をちゃんと聞いていれば……伯爵家にも迷惑をかけた。すまなかった」
殿下は頭を下げました。
「もう過ぎ去った事です」
「自分を見つめ直すべきだった。それが出来なかったからプリシアにも迷惑をかけてしまった。三年ぶりに会ったミシェルは大人びていて自分だけが取り残されたような気持ちになった」
「わたくしは、」
次の言葉が見つからなかった。
「ミシェルに世界は狭かったと聞いて、私も思うところがあった。遅いかもしれないけれど、プリシアと少し旅に出る事にした。プリシアの国のことを聞いて、見聞を広めようと思った」
「はい。とてもいいと思います。もし可能なら南の国の海沿いの街をオススメします」
「ミシェルのオススメか、候補に入れておくよ」
「ジュール殿下、最後にお会いできて良かったです。お元気で」
「ミシェル、今更だけど色々と悪かった……君のことを愛していたのは嘘ではないんだ」
愛していた。過去の話という事です。