愛していますよ、だから幸せになってくださいね!
「ねぇ、セルジュ様……ジュール殿下は大丈夫ですか? あんなにお痩せになって」
「自分では気がついてないのかもしれない。聞くところによると、まず朝はお茶だけだ、昼も夜も今までの半分以上残しているんだそうだ。母上が心配しているよ」
「ミシェル様は本当に身を引いてしまわれたのですね。今はどちらに?」
「伯爵に聞いても答えてくださらないそうだよ。母上が人をやらせて聞いても領地にも居ないそうだ」
「そう……」
「ミシェルは素直だから、母上との約束を守ったんだ」
「ジュール殿下に婚約者が出来たから身を引くって……確かにセルジュ様のお近くにわたくし以外の令嬢がいたら嫌ですもの。しかもお互い愛しあっているんでしょう? みんなが辛いわよ。誰も幸せになれないわ」
セルジュの腕を組んで悲しそうな顔をするブリジッド。
「辛い立場を理解して、沼にハマる前に別れを告げるなんて中々出来たことではない。たった十二歳の令嬢がな……この先ミシェルには幸せになってほしい」
「そうね、ジュール殿下も早く傷が癒えると良いけれど」