愛していますよ、だから幸せになってくださいね!

 私は何故か皆さんに声をかけてもらえて、変わっていないのかしら? と思って聞いてみると、髪の毛の色と瞳の色で分かるのだそうです。

 あぁ……なるほど。ウェズリー様もそれで覚えていたと言ってらしたもの。


 入学式があり学園長様のお話と、生徒会長様のお話を聞いて、式は無事に終わりました。

 学年が違うと、学舎も違うし、式があるホールでの座る場所も違うことから、ジュール殿下にはお会いしませんでした。


 帰り支度をしていると、お茶会をしましょうと声をかけられました。良いですね。とお答えしました。朝声をかけてくださった子爵令嬢クレール様でした。


「失礼ですけれど、ミシェル様には婚約者はおられますの?」

「えぇ。おりますわよ」

 にこりと笑ってお答えしました。

「そうでしたのね!」


「クレール様のご婚約者はシモン伯爵のご子息でしたわよね?」

「はい、覚えてくださっていたのですね」

「仲睦まじい姿をよく拝見いたしましたもの」

「子供の頃からの腐れ縁というか、はっ! ごめんなさい。悪気は……」


語尾を弱めるクレール様。


「……お気になさらなくても良いのに」


 多分ジュール殿下の事を思ったのでしょう。小さい頃からの腐れ縁……に反応したんでしょうね。気を遣わせてしまったようです。
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