愛していますよ、だから幸せになってくださいね!
「寂しくて他国の王子を誑かしジュールを忘れたの? とんだ阿婆擦れにウェズリー殿下も捕まってしまったのね。国の恥さらしじゃないの! たかが伯爵家の令嬢が一国の王子と婚約なんて身分不相応だとは思わないのかしら! 嘆かわしいわ」
王妃様から溢れ出る悪意……こんなことを言われても昔の私なら多分それも受け入れていたのかもしれない。それくらい狭い世界だったから。
私を国から出してくれた両親には本当に感謝しかない。いろんな体験をさせてくれて、美しい風景を見せてくれたウェズリー様に感謝だ。
「身分不相応? ですか。うちでは両親も兄達も重鎮達からも異論は出ませんでしたよ。国によっての違いはあれど、たかが伯爵家とは私は思いません。それに彼女から誑かされるのであれば、それは喜ばしい事ですよ! 二年かけて彼女を口説いたのですから」
「何がジュールの幸せを祈っているよ。自分勝手な子達ね」
王妃様は、はぁっ! と大きなため息を吐き扇で口元を隠された。