愛していますよ、だから幸せになってくださいね!
「生意気なことを言いますが、彼女に明るい未来があってはいけないのですか? ミシェルの人生はミシェルのものであり王妃様であっても干渉してほしくはありません。
それに他国の王族である私の婚約者を愛人でも良いだなんて、国際問題に発展しかねませんね。ジュール殿と彼女が幼い頃に思い合っていたのは私も知っていますが、それはあくまで過去の話です。ジュール殿は東の国の第三王女殿下と婚約をされた。大事にされるようにお伝えください」
にこりと落ち着いて笑顔で王妃様に向き合うウェズリー様。さすが王族だわ、王妃様に引けを取らずに会話ができるなんて。
でもその笑顔が怖い。
「国を挙げて大事にしているわよ!」
「そうですか。それは王女殿下もご安心でしょうね。王女殿下は美しく勤勉な方ですし、さぞかしジュール殿を立てて下さるでしょう。血筋も問題ありませんね」
王妃様が苛立つように紅茶のカップを持つ。
「ぬるい!」
カップをテーブルに叩きつけるように置くと勿論カップは割れて、破片が私の頬をかすめた。
つぅーっと血が流れる感覚がした。カップに入っていた紅茶もドレスを染みにした。