愛していますよ、だから幸せになってくださいね!
「結構です! ミシェルの怪我の手当てを急ぎますので失礼します! 手厚いもてなしに感謝しますよ。行こうミシェル」
ハンカチで頬を拭こうとしたら、ウェズリー様に止められた。
「破片が残っていたらまずい!」
立ち上がり手を引かれた。ウェズリー様はもうここには用事はない。と言った。
「王妃様、わたくしはウェズリー様を心からお慕いしております。ウェズリー様がいなかったら、きっと今も泣いて過ごしていました。ウェズリー様はわたくしに色んな美しい景色を見せてくれたから、世界は広いと教えて下さったから。両親が許してくれなかったらわたくしはウェズリー様と出会うこともありませんでした。十二歳の幼いわたくしを他国に行かせてくれた両親に感謝しています。わたくしは確かに幼い頃、ジュール殿下をお慕いしていましたが、それはあくまでも過去の事です。臣下としてジュール殿下の幸せを祈っております。言いたいことはそれだけです。失礼いたします」
渾身の淑女の礼をした。
初めてこの礼をした四歳のとき、王妃様はとても褒めてくださりました。
恐らくこれで最後になると思います。三年前もそう思っていたけれど、もう個人的なお誘いは無くなることでしょう。
ピリッとした空気が流れたけれど、逆に気持ちは落ち着いた。
振り向かずに扉に向かった。また何か飛んできたけれど、もう、良い。早くここから退出したい。