愛していますよ、だから幸せになってくださいね!
それから季節は変わり暑い日々が続いた。この国は夏は暑く、冬は寒い。南の国は冬はそんなに寒くなかったし、夏でもここまで暑くなかったのに。
三年もの間に体が南の国仕様に変換されたようだった。
「暑いね……」
「はい、毎日冷たいものばかり欲してしまって、食欲も湧きません……」
ウェズリー様も同じようだった。
「少し涼みに行こうか? 陛下がバカンスの為に離宮を勧めてくださって、湖があって涼しい場所らしいよ」
「……私如きが行ける場所ではありません」
陛下が勧める場所は王族や高位貴族のみが許される離宮の事。
私如きが行ける場所ではない。単なる伯爵令嬢の身分ではベールに隠された場所である。
「なんで? ミシェルは国同士が認めた私の婚約者なんだけど……この国の身分差と言うのは理解しているが、卑屈になる必要はないし、そんな事では私も困るし大事な問題なんだよ。伯爵家と言う立場で嫌な思いをする必要はない。伯爵も夫人も立派な方で私は尊敬をしている、ミシェルは違うのか?」
大事な事を忘れていたような気がする、いつも大事な事を気づかせてくださるウェズリー様……
「違いません! 両親を尊敬しています。ウェズリー様にも嫌な思いをさせてしまうところでした。気づかせてくださってありがとうございます……自分が恥ずかしいです」
「そういうところは素直なんだよな……陛下が勧めてくださるんだ、せっかくだからバカンスを楽しもうよ」
「そうですね!」
バカンスの為、離宮行きが決まった。