愛していますよ、だから幸せになってくださいね!

「ミシェル様はこちらははじめてですか?」

 公爵夫人の一言から始まった。


「えぇ。素晴らしい場所ですわね」


「わたくしたちは毎年お呼ばれされていますのよ。どうやって忍び込めたか、あらいやだ。ウェズリー殿下の婚約者でしたわね。ほほほ」


「陛下からお誘い頂きお邪魔いたしました。お部屋のバルコニーは見晴らしが素晴らしいですわね。とても広く天井も高くてさすが貴賓室と言った感じでした」


「まぁ! そのような場所を陛下が伯爵家のご令嬢に使わせるとは……驚きですわ。あらいやだ忘れてましたわ。ウェズリー殿下の婚約者という事を、おほほほほ」


 まるで虫けらを見るような目ですわね。


「その不思議なドレスはどうされましたの? 我が国の誇りを忘れられたのかしら? 南の国でその汚れたようなピンクは流行りの色なのかしらぁ?」

 公爵令嬢が言いましたわ。


「こちらのドレスは南の国特有の生地を使っております。軽くて柔らかくて動きやすいので気に入っております」


「まぁ! 動きやすいだなんて……何をなさるおつもりかしら。給仕でもされるとか?」

 おほほほほ……何が面白いのやら周りの人たちが笑いましたわ。


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