愛していますよ、だから幸せになってくださいね!
「こちらは高位貴族しか入れない場所だと言うのに伯爵令嬢がいる事にまず驚きました。いくらウェズリー殿下の婚約者とは言えまだ婚姻を結んでおりません。貴女はただの伯爵令嬢です。貴女が一番身分が低いのですよ、お分かり?」
「えぇ、勿論です王女殿下」
「この国の晩餐でその南の国のドレスを着ているのは何故かしら? 失礼だとは思いませんか?」
「わたくしはこの国の人間ですが、ウェズリー殿下と婚約をした以上、心はすでに南の国へ嫁いでいます」
しーん。としているので、この受け答えは離れたテーブルのウェズリー様にも聞こえている事と思います。
「聞いたところによると貴女、とんだ浮気者らしいじゃない? 自国の王子から他国の王子へと乗り換えるなんて……ウェズリー殿下の愛もそれくらいのものでしょう? ウェズリー殿下もたかが伯爵令嬢を良く妃に迎えようとしたものだわ」
くすくすと周りが笑い出す。
「側室は無理でも愛人になら迎えてあげても良かったんですわよ。わたくしにはそれくらいの広い心はありますのよ」