愛していますよ、だから幸せになってくださいね!
「はい、わたくしも三年間過ごした南の国が懐かしく思っております。既に故郷よりも居心地が良くなるとは思ってもおりませんでした。父との約束で戻ってきましたが、皆様からは歓迎されていないようですわね」
周りを見るとシーンとしていた。関わりたくないのだろう。
「この国にいる限りはこの国のルールがあるのよ?」
「はい、存じておりますわ。王女様はそれに則り行動をされている事も」
「……なんの、こと」
「わたくしは南の国に行って、世界が狭かったことに気付きました。国によってルールは違えど選択肢はわたくし自身にあるのですから、どう言った行動をすれば良いのかも」
「なにを言うの……」
「王女様がお生まれになった東の国はどう言ったお国柄でしょうか? 聞いた話によりますと、男女の差はなく女王陛下が民をまとめ生涯一夫一妻であるとお聞きしましたわ」
「そうよ……だから?」
「それなのにわたくしをジュール殿下の愛人に据えようとするのは、王女殿下の気持ちと反しているのではないですか?」
「……そんなこと」
「東の国は女王陛下の御世になり更に栄えられたと聞きました。身分差をなくし平民の方も王宮で仕事をされていると」
「……そうね」
「わたくしは……気さくで美しい王女殿下がジュール殿下のお妃様になると聞いて、とても嬉しく思いました。王太子殿下とブリジット様と手と手を取り合って良い国になると信じておりますわ」
王女殿下は黙り込んでしまわれた。何か思うところがあるのだろう。