【辛口ホームドラマ】紅(あか)いろうそくと人魚
第2話
話は、柳津町《やないづちょう》の貯木場《がんぺき》で徳広《のりひろ》と竹宮《たけみや》が会ったあとそのままドライブに出たところから始まる。

移動中の車の中にて…

徳広《のりひろ》は、ヤキソバヘアの竹宮《たけみや》と一緒に後ろの座席《せき》に乗っていた。

徳広《のりひろ》は、ものすごくつらい声で竹宮《たけみや》に許し乞《ご》いをした。

「お願いです…もうこらえてください…」

竹宮《たけみや》は、不気味な声で徳広《のりひろ》に言うた。

「もうこらえてくれだと…そない言うて逃げようなんてそうはいかんぞ!!」

徳広《のりひろ》は、ものすごくつらい声で竹宮《たけみや》に言うた。

「私には、大事な家族がいるのですよ…守らなければならないものがあるのですよ…」

竹宮《たけみや》は、徳広《のりひろ》に対して胸ぐらをつかんだあとものすごく恐ろしい声でイカクした。

「コラ!!」
「ヒィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ~」
「オドレ!!よくも藍子《オレのレコ》にてぇつけたな!!」
「私は知らない…」
「ウソつくな!!」
「ヒィィィィィィィィィィィィィィィィィィ~」

竹宮《たけみや》は、おびえまくっている徳広《のりひろ》に対して恐ろしい声でイカクした。

「聞いたところによると、新月《オドレのクソガキ》が藍子《あいこ》が暮らしている家に行った…ほんで、藍子《あいこ》からカネたかった…その後…松永町内《ちょうない》のパチンコ屋へ行った…カネがなくなったらまた藍子《あいこ》のもとへ行ってカネをたかる…」
「私は知らない…私は知らない…」
「オドレクソジジイ!!」
「こらえてください…私にどんな落ち度があると言うのですか〜」
「新月《クソガキ》に藍子《あいこ》からカネたかってこいと言うたのはオドレだ!!」
「違う…私は違う…新月《しづき》が勝手にやってるだけだ!!」

竹宮《たけみや》は、徳広《のりひろ》の胸ぐらから手を離したあと、さらに恐ろしい声でイカクした。

「新月《クソガキ》が勝手にやってるだけだと言うのであれば仕方がない…せやけど、38年前のことについてはオトシマエをつけてもらうからな…」
「38年前のことなんか忘れた!!」

徳広《のりひろ》が怒った声で『過去をほじくるな!!』と言うたので、竹宮《たけみや》はより恐ろしい声で徳広《のりひろ》をイカクした。

「おいコラジジイ!!オドレええドキョーしとるな!!」

徳広《のりひろ》は、竹宮《たけみや》に38年前のことをほじくられたので、怒り狂った。

話は、今から38年前の1985年頃であった。

事件は、岡山空港のロビーで発生した。

20代の夫婦が1歳半の自分の娘を置き去りにして海外旅行へ行った…

当時1歳半の娘は、温大《はると》の妻である永眞《えま》であった。

この時、永眞《えま》の両親は、永眞《えま》の航空券《チケット》を購入することを忘れていた…

…と言うのはタテマエで、ホンネは永眞《えま》がうざいからわざと購入しなかった…と言うことであった。

話は、永眞《えま》の両親が乗った航空機《ひこうき》が離陸してから20分後であった。

当時、会社員だった徳広《のりひろ》は東京へ所用《おつかい》に行くために飛行機にトウジョウする予定だった。

この時、徳広《のりひろ》は置き去りにされた永眞《えま》を保護した。

その後、徳広《のりひろ》は所用《おつかい》に行くことをダンネンして永眞《えま》を連れて帰った。

徳広《のりひろ》としのぶは、永眞《えま》は両親に置き去りにされたと判断して、子どもを保護する機関に知らせた。

保護された永眞《えま》は、その後四国にある母子保護施設へ移された。

そして、子どものいない夫婦の家に養女になった。

しかし、ほどなくして永眞《えま》の実父《テテオヤ》の親類縁者が弁護士を連れて徳広《のりひろ》のもとにやって来た。

実父《テテオヤ》の親類縁者は、徳広《のりひろ》が永眞《えま》を連れ去った誘拐罪で刑事告訴《こくそ》すると言うた。

困った徳広《のりひろ》は、事態をシュウソクさせるために弁護士さんをたてることにした。

しかし、示談交渉《ジダン》を引き受けてくださる弁護士さんが近くにいなかったのでものすごく困った。

そこで徳広《のりひろ》は、松永町内《ちょうない》で暮らしている元チャンプの男(ボクシングジムの経営者で、徳広《のりひろ》の知人)に助けを求めた。

徳広《のりひろ》の話を聞いた元チャンプの男は、竹宮《たけみや》と田嶋組《たじま》を紹介した。

竹宮《たけみや》と田嶋組《たじま》は、元チャンプの男の知人の知人の知人のそのまた知人のコンサルティング会社(実はペーパーカンパニーである)経営者の男の知人にあたる男たちであった。

その後、徳広《のりひろ》は竹宮《たけみや》と田嶋組《たじま》を利用して永眞《えま》の両親の親類縁者と実父《テテオヤ》の親類縁者の知人の弁護士の家を壊滅させた。

それから数ヶ月後…

徳広《のりひろ》は、竹宮《たけみや》と田嶋組《たじま》たちにつきまとわれてしまった。

徳広《のりひろ》は、自分自身がヤクザ組織に利用されていることに全く気がついていないようだ。

それどころか、徳広《のりひろ》は『竹宮《たけみや》と田嶋組《たじま》らは命の恩人だから…』と言うて彼らにイソンしていた。

その結果、徳広《のりひろ》は竹宮《たけみや》と田嶋組《たじま》たちにつきまとわれた…と言うことである。

他にも、徳広《のりひろ》は35年前に女性従業員さんがセクハラの被害を受けたことを苦に婚約者の男性が自殺したこと…徳広《のりひろ》がセクハラの被害を受けた女性従業員さんをレイプして子をはらませたこと…についても竹宮《たけみや》と田嶋組《たじま》たちから強請《ゆす》られていた。

新月《しづき》がセクハラの子であることなど…をふくめて、徳広《のりひろ》はあやまちを大量に犯した。

そう思った徳広《のりひろ》は『自分がたくさん悪いことをしたのだから仕方ない…』と言うてあきらめてしまった。

だから、徳広《のりひろ》は田嶋組《やつら》につきまとわれてしまった…

…と言うことがまだ分からないのか…

話は変わって…

柳津町《やないづちょう》の港湾《がんぺき》を出発してから85分後であった。

またところ変わって、田嶋組《たじま》の事務所にて…

事務所には、田嶋《くみちょう》と小林(出入りしている者・ラブボ経営者)と山岡(同じく出入りしている者・元県議会議員)の3人がいた。

3人の前には、雀卓《じゃんたく》が置かれていた。

竹宮《たけみや》は、徳広《のりひろ》の右腕を無理やりひっぱって入れながら田嶋《くみちょう》に言うた。

「組長。」
「おう竹宮。」
「カモ連れて来やした。」
「おうご苦労だった…村前《ダンナ》、ようきやしたなぁ〜まあ、座れや。」

竹宮《たけみや》は、空いている席に徳広《のりひろ》を無理やり座らせた。

「オラ!!座れ!!」
「なにするのですか…」
「決まってるじゃないか…組長のマージャンの相手をするんや…」
「こ、こ、こ、こらえて…ヒィィィィィィィィィィィィ~」

徳広《のりひろ》は必死になって許し乞《ご》いをした。

竹宮《たけみや》は、持っていたドスで徳広《のりひろ》をイカクした。

「コラジジイ!!38年前にケーサツざたにならずにすんだのはだれのおかげだとおもとんぞ!!」
「ヒィィィィィィィィィィィィィィィ~」
「コラジジイ!!大金《かね》つくるかゆびつめるかマージャンの相手をするか…どっちかにせえ…」
「わかった…マージャンの相手する…それでいいだろ…」
「わかった…ほんなら命は助けたる…」

その後、徳広《のりひろ》は田嶋《やつら》のカケマージャンの相手をさせられた。

事務所には、深夜2時頃まで滞在した。

ところ変わって、徳広《のりひろ》が使っている部屋にて…

うす暗い部屋に敷かれているフトンの上に座り込んだ徳広《のりひろ》は、女々しい声で泣いていた。

しかし、徳広《のりひろ》のつらい気持ちは晴れなかった。

時は、朝7時頃であった。

ところ変わって、ダイニングキッチンにて…

テーブルには、温久《はるひさ》と温大《はると》と永眞《えま》の4人が座っていた。

徳広《のりひろ》と新月《しづき》は、テーブルにいなかった。

麿人《きよと》は、家を出たまま行方不明になっていた。

この時、家に電話がかかっていた。

電話は、新市《しんいち》(山の方にある町)で暮らしている麿人《きよと》の母親からであった。

電話の応対は、しのぶがしていた。

「もしもし、麿人《きよと》はまだ帰宅していませんけど…きのうですか?…麿人《きよと》は職場の人のソーベツ会があるから…帰りは遅くなるといよったけど…この際だから言わせてもらうけど、いつになったら麿人《きよと》は自立するのかしら…あんた方の近辺で年ごろの娘さんはいないの?…だから、麿人《きよと》はうちから出ていってほしいからいよんよ…麿人《きよと》のドーキューセーたちは、結婚して個々の家庭を持っているのよ!!…3軒となりの魚住《うおずみ》さん方の長男さんは、社内恋愛で知り合った職場のマドンナさん(30歳ぐらい)と結婚したのよ!!…来年の春には赤ちゃんが生まれてくるのよ!!…そのおとなりの作道《さくどう》さん方の娘さんは、一姫二太郎《いちひめにたろう》のママで幸せいっぱいなのよ!!…はぐいたらしいわね!!うちは麿人《きよと》に自立してほしいからガーガーいよんよ!!麿人《きよと》のドーキューセーたちは、個々の家庭を持って幸せに暮らしているのよ!!それなのに麿人《きよと》はダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラしよんよ!!麿人《きよと》はドーキューセーと違うことしよるけん怒っているのよ!!ドーキューセードーキューセードーキューセードーキューセードーキューセードーキューセードーキューセードーキューセードーキューセードーキューセードーキューセードーキューセードーキューセードーキューセードーキューセードーキューセードーキューセードーキューセードーキューセードーキューセードーキューセードーキューセードーキューセードーキューセードーキューセードーキューセードーキューセードーキューセードーキューセードーキューセードーキューセードーキューセー…ドーキューセーと同じことをしなさいとおらびなさいよ!!」

(ガチャーン!!)

ブチ切れたしのぶは、ガチャーンと電話を切ったあと両手で髪の毛を激しくかきむしった。

この時、スーツ姿の温久《はるひさ》がうんざりした声でしのぶに言うた。

「かあさん、朝からガーガーガーガーおらんだら(怒鳴り声をあげたら)しんどいよ~」

しのぶは、ものすごくつらい声で温久《はるひさ》に言うた。

「ごめんね…新市《しんいち》のおばさんがユージューフダンな声でいよったけん厳しく注意しただけよ。」

しのぶは、ものすごくつらい表情でいすに座った。

この時、温久《はるひさ》が怒った声でしのぶに言うた。

「それよりも、あの麿人《クソバカイトコ》を始末せえよ!!」

しのぶは、ものすごくつらい声で温久《はるひさ》に言うた。

「分かってるわよ…かあさんだって、麿人《きよと》に自立してほしいと思っているわよ…だけど、問題がたくさんあるのよ。」

温久《はるひさ》は、怒った声でしのぶに言うた。

「麿人《クソバカ》は、まだ32歳だったな!!」
「そうだけど…あと6ヶ月で33歳になるけど…」
「ほんなら陸上自衛隊《ジエータイ》へぶちこみゃええんや!!」
「陸上自衛隊《ジエータイ》…」
「…と言うか、きのう(広島の地協にいる)知人に電話して、麿人《クソバカ》の入隊手続き取った…」

しのぶは、おどろいた声で言うた。

「麿人《きよと》を陸上自衛隊《ジエータイ》に入隊する手続きを取ったって…本人のいないところで勝手に決めないでよ!!」

温久《はるひさ》は、よりし烈な声でしのぶを怒鳴りつけた。

「はぐいたらしいんだよ!!麿人《きよと》は甘ったれているから陸上自衛隊《ジエータイ》に入隊して1からきたえ直した方がいいんだよ!!陸上自衛隊《ジエータイ》に入ったらお金が貯まる、資格が取れる、車の運転免許証が取れる…病院の治療が無料…などいいことが毎日続くんだよ!!」
「それは分かるけど…」
「まだ文句があるのか!!」

(ガーン!!)

思い切りブチ切れた温久《はるひさ》は、右足で席をけとばしたあとジャケットと黒の手提げを持って家から出ていった。

それから1分後であった。

しのぶは、ものすごくあつかましい声で温大《はると》に言うた。

「温大《はると》!!」
「なんだよぅ〜」
「お前はいつになったら笠岡の鋼板工場《こうじょう》へ行くのよ!?」
「またその話しかよ…」
「おかーさんは温大《あんた》が研究研究といよるけん怒っているのよ!!研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究…と言うてダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラ…と先延ばしにしているけど…」
「ぼくが大学で研究に取り組むことがそんなにいかんのか!?」
「いかんからいよんよ!!」
「かあさんはなにが気に入らないんだよ!!」
「おかーさんは、温大《あんた》に永眞《およめ》さんを養ってといよんよ!!」
「はぐいたらしいんだよ!!鋼板工場《こうじょう》鋼板工場《こうじょう》鋼板工場《こうじょう》鋼板工場《こうじょう》鋼板工場《こうじょう》鋼板工場《こうじょう》…鋼板工場《こうじょう》と繰り返して言うから頭来るんだよ!!」
「鋼板工場《こうじょう》は、おかーさんの知り合いの人が工場長を務めているのよ!!親切な人たちがたくさんいるのよ!!」
「ふざけるな!!そんなツゴーがよすぎる会社なんかあるものか!!やさしいやさしいやさしいやさしいやさしいやさしいやさしいやさしいやさしいやさしいやさしいやさしいやさしいやさしいやさしいやさしいやさしいやさしいやさしいやさしいやさしいやさしいやさしいやさしいやさしいやさしいやさしいやさしいやさしいやさしいやさしい…方ばかりを選んだから麿人《クソバカ》は自立できんクソッタレ甘ったれのおーーーーーーーーバカもんになったのだ!!そのように仕立てた新市《しんいち》のおばは超クソバカだ!!」

(ガーン!!)

思い切りブチ切れた温大《はると》は、右足で席をけとばしたあと家から出ていった。

しのぶは、ひどくおたついた表情であたりを見渡した。

永眞《えま》は、ものすごくつらい表情でしのぶの様子を見ていた。

またところ変わって、今津町《いまづちょう》にある高級住宅街にて…

チャラい格好をしている新月《しづき》は、藍子《あいこ》が暮らしている家へ向かって歩いていた。

その時であった。

ヤキソバヘアーの竹宮《たけみや》が家の前で藍子《あいこ》と会っている様子を新月《しづき》が目撃した。

思い切りブチ切れた新月《しづき》は、竹宮《たけみや》に殴りかかって行った。

「オドレ竹宮《クソがキャ》!!」

(ドカッ!!)

新月《しづき》は、よりし烈な力を込めて竹宮《たけみや》にぶつかっていった。

新月《しづき》に体当たりされた竹宮《たけみや》は、その場に倒れた。

倒れた竹宮《たけみや》は、怒った声で新月《しづき》に言うた。

「オドレ新月《クソがキャ》!!よくもワシにたきつけたな!!」
「ふざけるな!!オレの藍子《レコ》にちょっかい出したからしわいた!!」
「なんやオドレ!!やるんか!!」
「ああ、やったら!!きのう柳津町《やないづ》の港湾《がんぺき》でオヤジをゆすってカケマージャンに誘った場面を動画で撮影してテレビ局へ送ったからな!!」
「オドレ!!よくもいらんことしたな!!」

ブチ切れた竹宮《たけみや》は、ハラマキにはさんでいたドスを出したあと新月《しづき》に対してしつようにふりまわしながら言うた。

「そないに死にたいのか!!オラオドレ!!そないに死んだ実母《かあちゃん》のもとへ行きたいのか!!」

ドスでイカクされた新月《しづき》は、女々しい声で『殺さないでくれ!!』とさけびながら命ごいをした。

(ドカドカドカドカ…)

この時、新月《しづき》は近くにあるゴミ収集場に置かれていた青色のポリ容器のゴミ箱にぶつかって転んだ。

竹宮《たけみや》は、ドスをしまったあと転倒した新月《しづき》をボコボコに殴りつけた。

「ふざけんなよクソがキャ!!よくもオレの藍子《レコ》にてぇつけたからボコボコにいて回したらぁ!!」
「すみません…」

新月《しづき》は、約100分に渡って竹宮《たけみや》からボコボコにいて回されてボロボロに傷ついた。

またところ変わって、東村町にある大学の研究室にて…

温大《はると》は、研究チームのメンバーたちと一緒に2025年までに完成させる研究に取り組んでいた。

しかし、温大《はると》はチームのメンバーたちは『あなたはここしなくていいから…』と言われたのでメンバーから外された。

研究チームのメンバーから外された温大《はると》は、研究室のすみの方に追いやられた。

この時、温大《はると》はひどくコウカイしていたと思う。

研究に取り組みたいのに、入れてくれない…

オレ…

来たところを間違えたかもしれない…

そう思った温大《はると》は、勝手に研究室から出たあと構内《キャンパス》のあちらこちらをウロウロと歩いた。

時は、午前11時50分頃であった。

またところ変わって、岡山市にある大手都市銀行の支店にて…

温久《はるひさ》は、いつも通りにお札を数える作業に取り組んでいた。

この時、上の人が温久《はるひさ》のもとにやって来た。

上の人は、やさしい声で温久《はるひさ》に言うた。

「温久《はるひさ》さん。」
「なんでしょうか?」
「ちょっと話があるけどいいかなぁ〜」
「話しって、なんでしょうか?」
「弟さんの温大《はると》さんのことだけど…温大《はると》さんは大学で研究に取り組んでいると言うたね。」
「はい。」
「どんな研究に取り組んでいるのかな〜…研究はいつ頃に完成するのかな〜」

上の人が温久《はるひさ》に対して温大《はると》が大学でどんな研究をしているのか知りたい…と言うたので、温久《はるひさ》はものすごく困った表情を浮かべた。

温久《はるひさ》は、上の人に対して困った表情で言うた。

「課長、温大《はると》が大学でどんな研究をしているのかについては…ぼくは知らないのです。」

上の人は、温久《はるひさ》に対してやさしい声で言うた。

「ああ、ごめんね…温久《はるひさ》さんはご存知なかったのだね…話と言うのは、温大《はると》さんの人生設計のことだけど…温大《はると》さんは…お嫁さんはいるのかなァ~」
「温大《はると》にお嫁さんはいるかって?」
「ええ…たしか、温大《はると》さんは、東京の大学に在籍《いた》時に…研究の成果が認められて表彰されたそうだね…その後、大学で知り合ったカノジョと挙式披露宴をあげたよね…」
「それは途中でやめたみたいです…それ以降のことは聞いていません。」
「そうだったね…だったらちょうどいいはなしがあるんだよ…温大《はると》さんに伝えてくれるかな…7月22日に…温大《はると》さんに紹介しようと思う人がいるんだよ。」
「紹介しようと思う人って?」
「温大《はると》さんの人生を変えてくださる運命の人だよ…私が紹介する人とお会いになった方は人生がガラッと変わって幸せになれたんだよ。」
「それは本当でしょうか?」
「本当に本当だよ…この間、私は先方さまにお会いしたよ…いつだったか忘れたけど…ああ、柳町《やなぎまち》にある料亭でお昼を一緒に食べた時だったか…その時に、温大《はると》さんのことを話した…そしたら、先方さまは『温大《はると》さんにぜひお会いしたい。』と言うたのだよ…」
「ぜひお会いしたいって…」
「そう言うことで、7月22日は予定を空けておくように温大《はると》さんに伝えてね。」

上の人は、温久《はるひさ》に対して一方的に言うたあと口笛を吹きながら外へ出た。

温久《はるひさ》と従業員さんたちは、冷めた目つきで上の人の背中を見つめた。

時は、午後1時半頃であった。

またところ変わって、福山市今津町にある高級住宅街にて…

竹宮《たけみや》からボコボコにいて回された新月《しづき》は、藍子《あいこ》がいる家に再びやって来た。

新月《しづき》は、藍子《あいこ》に対して竹宮《たけみや》とどういう関係があるのか…と問い詰めた。

新月《しづき》から問い詰められた藍子《あいこ》はものすごく泣きそうな声で新月《しづき》に帰ってとサイソクした。

「お願い…お願いだから帰って!!」

新月《しづき》は、ものすごくなさけない声で藍子《あいこ》に言うた。

「オレ、このままでは帰ることはできん…答えろよ…竹宮《あのクソガキ》と藍子《あいこ》はどういう関係があったのだよ!!」
「だから、アタシは竹宮《あのおとこ》からつきまとわれていたのよ!!」
「そうかよ…わかった…」

新月《しづき》は、ひと間隔おいてから藍子《あいこ》に言うた。

「オレは…今でもオドレをうらんでいる…オドレのせいでオレの人生はズタズタに壊れた!!」
「やめて…恐ろしいことを言わないでよ…」
「ふざけるな!!そのようになったのはあの事件のせいだ…オレが小4の時だった…ガッコーでお医者さんごっこの問題が発生したことが原因でオレの人生がズタズタに壊れた!!…オレと同学年の男子がひとりの女の子とお医者さんごっこをしていた…その時オレは、別の場所にいたから身に覚えがなかった…その時、藍子《オドレ》は小1だったな…藍子《オドレ》のせいで、オレは親からどぎつい声でおらばれた!!…小4の二学期のコンダンカイの時に…担任《センコウ》が親に例の問題のことをチクった!!…そのせいでオレは親からどぎつい声で言われた!!…ガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミガミ…オドレのせいだ…オドレのせいだオドレのせいだオドレのせいだオドレのせいだオドレのせいだオドレのせいだオドレのせいだオドレのせいだオドレのせいだオドレのせいだ…オーーーーーードーーーーレーーーーーのせいだ!!」

新月《しづき》からどぎつい声で叫ばれた藍子《あいこ》は、泣きながら許し乞《ご》いをした。

「イヤ!!許して…許して…あの時…アタシ…パニックを起こして…落ち着いてものが言えなかった…イヤ!!やめて!!イヤ!!離して!!」

ブチ切れた新月《しづき》は、藍子《あいこ》を床の上に寝かせたあとより激しい力で藍子《あいこ》の身体を押さえつけながら言うた。

「ふざけるなよ!!藍子《オドレ》のせいだ!!藍子《オドレ》のせいだ!!藍子《オドレ》のせいだ!!」
「イヤ!!イヤ!!やめて!!」

(ビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリ!!)

ブチ切れた新月《しづき》は、藍子《あいこ》が着ていた白のブラウスを思い切り破いた。

ブラウスの中から、Mカップの極爆乳《おおきすぎるおっぱい》を包んでいる白のブラジャーがあらわになった。

「やめて!!イヤ!!」

つづいて、新月《しづき》は藍子《あいこ》が着ていた赤色のスカートを脱がした。

スカートの中から、白のレギュラーショーツを包んでいるベージュのストッキングがあらわになった

「やめて!!やめて!!」
「ふざけるな!!オレの人生をズタズタに壊したことをわびろ!!わびろわびろわびろわびろわびろわびろわびろわびろわびろわびろわびろわびろわびろわびろわびろわびろわびろわびろわびろわびろわびろわびろ!!」

(ビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリ…)

「イヤァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

新月《しづき》は、よりし烈な怒りを込めてストッキングを破いた。

「ふざけるな!!ふざけるな!!」
「やめて!!やめて!!」

藍子《あいこ》は、新月《しづき》を突き飛ばしたあと逃げ出した。

新月《しづき》は、すぐさまに藍子《あいこ》をつかまえた。

その後、藍子《あいこ》は浴室の脱衣場に連れて行かれた。

「やめて!!イヤ!!イヤ!!」

藍子《あいこ》は、新月《しづき》に寝かされたあと再び身体を押さえつけられた。

(バシッ!!バシッ!!バシッ!!)

「痛い!!痛い!!痛い!!」

藍子《あいこ》は、新月《しづき》から平手打ちで顔を激しく叩かれたあと、白のブラジャーを思い切りちぎられた。

(ブチッ)

ちぎれたブラジャーの中からMカップの極爆乳《おおきすぎるおっぱい》があらわになった。

つづいて、ショーツも脱がされた。

「やめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめて…イヤァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

藍子《あいこ》は、よりし烈な声で泣き叫んだ。

藍子《あいこ》は、新月《しづき》に犯されてボロボロに傷ついた。

それから180分後であった。

藍子《あいこ》を犯した新月《しづき》は、ウキウキした表情で歩いていた。

その時であった。

新月《しづき》は、4つ先の十字路付近で小林と会った。

小林は、新月《しづき》を見るなりにエリ首をつかんで攻撃した。

「コラクソガキ!!またんかい!!」
「なにするんだよ~」
「よくも竹宮《たけみや》の女《レコ》を犯したな!!」
「知らねーよ!!」

(ガツーン!!)

小林は、グーで新月《しづき》のこめかみを殴りつけた。

「ヤローテメー!!」
「やめてくれ!!」
「ふざけるな!!」

新月《しづき》は、小林からボロボロにいて回された上に同行していた複数人の男たちから集団暴行を受けた。

それからまた180分後であった。

新月《しづき》は、ボロボロに傷ついた姿で倒れていた。

小林は、怒った声で新月《しづき》に言うた。

「おいクソガキ!!こんど藍子《レコ》を犯したらどないなるかわかっとんやろな!!わかっとんやったらこの近辺をうろつくな!!ワシの声が聞こえんのか!!」

(ドカッ!!)

小林は、よりし烈な力をこめて右足で新月《しづき》をけとばした。

その後、小林は複数人の男たちと一緒に現場から立ち去ろうとした。

この時、新月《しづき》がよれよれの状態で起き上がった。

そして…

「アニキ!!」

新月《しづき》は、持っていたナイフで小林の肩を斬《き》りつけた。

「テメー!!クソガキ!!」
「やるんか!!」

新月《しづき》は、よれよれの状態で子分たちを殴りつけた。

新月《しづき》は、持っていたナイフで子分数人を斬《き》りつけた。

新月《しづき》に斬《き》られた子分たちは、亡くなった。

その後、新月《しづき》は子分の男たちから受けた暴行が原因で殺された。

同時に、新月《しづき》に斬《き》られた小林も殺された。

それから100分後であった。

事件現場に広島県警のパトカー20台が到着した。

パトカーから降りた捜査員たちは、ものすごくしかめた表情で現場検証に取り組んでいた。

高級住宅街は、よりキンパクした空気に包まれた。

話は、同じ日の夕方5時半過ぎのことであった。

(ピーッ、ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…)

温久《はるひさ》は、山陽本線の下りの各駅停車《れっしゃ》に乗っていた。

この日は、少し早い便の列車で帰宅した。

時は、夜7時過ぎであった。

またところ変わって、福山市松永町にある家のダイニングにて…

ダイニングのテーブルにしのぶと温久《はるひさ》が座っていた。

温久《はるひさ》は、ものすごく怒った表情で中国新聞の夕刊を読んでいた。

ダイニングキッチンにいる永眞《えま》は、今朝方作ったみそ汁を温め直していた。

温久《はるひさ》は、よみかけの新聞をひざの上に置いたあと怒った声でしのぶに言うた。

「7月22日は、温大《はるひさ》に紹介したい人がいるから予定を空けてくれ!!」

温久《はるひさ》から怒った声で言われたしのぶは、ものすごくつらい声で言うた。

「7月22日はツゴーが悪いのよ…」

温久《はるひさ》は、ものすごく怒った声でしのぶに言うた。

「ツゴーが悪いだと!!」

しのぶは、ものすごくつらい声で温久《はるひさ》に言うた。

「温久《はるひさ》。」
「なんや!!」
「その日は、おかーさんのツゴー悪いのよ…」

温久《はるひさ》は、ものすごく怒った声でしのぶに言うた。

「ツゴーが悪いからどうせえと言うんぞ!!」
「ツゴーが悪いから変更してといよんよ…」
「はぐいたらしいんだよ!!ツゴーが悪いツゴーが悪いツゴーが悪いツゴーが悪いツゴーが悪い…と言うて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて…逃げ回る気か!!」
「逃げてなんかいないわよ…」
「ほんなら、研究研究とほざいてる温大《はると》をどうにかせえよ!!ケームショでもいいから家から出せよ!!」
「分かってるわよ~」
「なんやその言いぐさは!!」

ブチ切れた温久《はるひさ》は、席から立ち上がったあと家から出ようとした。

温め直したみそ汁が入っている大きな両手鍋を持っている永眞《えま》は、外へ行こうとする温久《はるひさ》にどこへ行くのかと聞いた。

「義兄《おにい》さま!!どちらへ行かれるのですか!?もうすぐごはんができますよ!!」
「だまれ!!」

ブチ切れた温久《はるひさ》は、家から出たあと外へのみに行った。

それから3分後であった。

温大《はると》がつかれた表情で帰宅した。

しのぶは、ものすごくあつかましい声で温大《はると》に言うた。

「温大《はると》!!」
「なんだよぅ〜」
「温久《おにいさん》がどんな気持ちに置かれているのかが分かってないわね!!」
「またその話かよ〜」
「温大《はると》!!」
「なんだよぅ〜」
「温大《おまえ》は何をしに大学へ行ってるのよ!?」
「研究に取り組むために…」
「ウソ言われん!!研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究…その言葉は聞きあきたわよ!!」
「はぐいたらしいんだよ!!大学で研究に取り組むことがそんなにいかんのか!!」
「いかんからいよんよ!!温大《おまえ》のドーキューセーは個々の家庭を持っているのよ!!」
「またドーキューセードーキューセードーキューセードーキューセードーキューセードーキューセードーキューセードーキューセーといよる!!ぼくがドーキューセーと違うことしたらいかんのか!!」
「いかんからいよんよ!!おとなりの家の息子さんは5人目の赤ちゃんが生まれたのよ!!…下松さんちの息子さんは次長に昇進したのよ!!」
「やかましい!!なんでそんな話をするんぞ!!」
「ドーキューセーと同じことをしなさいといよんよ!!」
「はぐいたらしいんだよ!!」

(ガラガラガラガラガラガラガシャーン!!)

ブチ切れた温大《はると》は、永眞《えま》が作った食事をテーブルごとぶち曲げた。

(バシッ!!バシッ!!バシッ!!)

その後、温大《はると》は永眞《えま》の顔を平手打ちで3回叩いた。

温大《はると》は、しのぶに対して『家にいたらむしゃくしゃするから外へのみに行く!!』と言うて家から出ていった。

温大《はると》から吐き捨てる言葉を言われたしのぶは、メソメソメソメソと泣いた。

温大《はると》から平手打ちで顔を叩かれた永眞《えま》は、叩かれた部分に手のひらをあてながらぐすんぐすんと泣いた。

時は、深夜11時50分頃であった。

またところ変わって、家の浴室にて…

ぬるま湯につかっている永眞《えま》は、ものすごくつらい表情でつぶやいた。

なんでうちは…

村前《このいえ》の嫁になったのか…

なんでうちは…

40前に結婚したのか…

本当は…

結婚なんかしたくなかった…

周囲《まわり》が結婚しろ結婚しろとうるさく言うから仕方なく結婚しただけ…

サイアクだわ…

永眞《えま》は、5月26日に当時勤務していた職場の上司の紹介で温大《はると》とお見合いをした。

お見合いは、福山市内《しない》にある高級料亭《りょうてい》の奥座敷《おくざしき》で行われた。

お見合いの席には、村前《むらさき》の家の家族6人と永眞《えま》と永眞《えま》の職場の上司がいた。

永眞《えま》の職場の上司は、しのぶの旧友《ちじん》にあたる人であった。

お見合いは、温久《はるひさ》と温大《はると》のどちらかが永眞《えま》と結婚するかの話し合いであった。

この時、温久《はるひさ》と温大《はると》は結婚したくないので一方的に拒否した。

そのため、家族でもう一度話し合いをすることになった。

その結果、永眞《えま》の結婚相手は温大《はると》に決まった…と言う事であった。

そして、6月の大安吉日《だいあんきちじつ》の日曜日に鞆ノ浦にある料亭で結婚披露宴《ひろうえん》をあげた。

しかし、市役所に婚姻届を出していなかった。

温大《はると》は、今も大学時代に知り合ったカノジョと入籍できなかったことに対して腹を立てていた。

永眞《えま》は、温大《はると》に対して婚姻届にショメイナツインをしてほしいと求めた…

しかし、温大《はると》は婚姻届にショメイナツインすることを強く拒否した。

…と言う事で、法的な夫婦関係は成立していなかった。

そうしたことが原因で、夫婦関係が極力悪化したようだ。

湯船につかっている永眞《えま》は、ぬるま湯に頭を沈めたあとブクブクと泡《あわ》を立てた。

7月20日の午後1時頃であった。

またところ変わって、東村町《ひがしむらちょう》にある大学にて…

温大《はると》は研究室にいたが、他のメンバーたちから『あなたは入らなくてもいい…』と言われたので部屋のすみにいた。

ブチ切れた温大《はると》は、勝手に研究室から出た。

その後、研究室のとなりにある事務室に勝手に入った。

温大《はると》は主任のデスクの引き出しをあけたあと、中に入っていた現金500万円を強奪した。

その後、準備室に保管されていた高価な備品を全部持ち出した。

この時、通りかかった男性研究員が温大《はると》に対して大学のものを勝手に持ち出さないでくださいと言うた。

「ちょっと、大学の備品を勝手に持ち出さないでくださたい!!」
「はぐいたらしいんだよ!!コラクソバカ!!」

(ドカッ!!)

温大《はると》は、右足で男性研究員をけとばして倒した。

その後、右足でしつようにけとばしたあと男性研究員が持っていた財布の中から現金200万円とクレカ3種類を強奪した。

温大《はると》は、勝手に大学から出たあと福山市内《しない》にあるパチンコや風俗店《フーゾク》をはしごした。

時は、深夜11時前であった。

またところ変わって、松永町にある家にて…

家のダイニングキッチンのテーブルに永眞《えま》が座っていた。

テーブルの上には、片方が空欄になっている婚姻届が置かれていた。

この時、ものすごくつかれた表情を浮かべていた温大《はると》が帰宅した。

永眞《えま》は、温大《はると》に対して怒った声で言うた。

「あなた!!今の今ごろまでどこへ行ってたのよ!!」
「オレがどこへ行こうとオドレにはカンケーない!!」

温大《はると》が永眞《えま》に対して突き放す言葉を言うたので、ひどい大ゲンカになった。

「あなた!!きょうの夕方頃に大学から電話がかかってきたわよ!!」
「研究員たちが仲間はずれにしたから鉄拳制裁《せいさい》を加えた!!」
「あなた!!」
「はぐいたらしいんだよ!!なにもかもがもうイヤになった!!だから研究なんかやめた!!」
「あなた!!」
「ふざけるな!!なんやこれは…なんやこれは!!」

(ビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリ!!)

ブチ切れた温大《はると》は、テーブルの上に置かれていた婚姻届を永眞《えま》がいる前でズタズタに破いた。

「なにするのよ!!」
「ふざけるな!!オドレのせいだ!!オドレのせいでオレの人生がズタズタに壊れた!!」
「やめて!!イヤァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

永眞《えま》は、ブチ切れた温大《はると》からよりし烈な暴行を受けた。

なんでうちが悪いのよ…

うちにどんな落ち度があるのよ…

サイアク…

その翌日の朝であった。

永眞《えま》は、温大《はると》からきつい暴行を受けたことを苦に家出した。

温大《はると》も、家にいるのがイヤになったので家出した。

これにより、永眞《えま》と温大《はると》の夫婦関係は破たんした。
< 2 / 11 >

この作品をシェア

pagetop