【辛口ホームドラマ】紅(あか)いろうそくと人魚
第5話
時は、9月2日の正午頃《ひるごろ》であった。

ところ変わって、広島市中区中町《なかくなかまち》にある全日空ホテルにて…

この日、ホテルでは恋愛結婚のカップル一組の結婚披露宴《ひろうえん》がとりおこなわれる予定であった。

結婚披露宴《ひろうえん》の主役は、片島起史《かたしまたつし》(28歳)と大学で知り合った女性(26歳)である。

起史《たつし》は、東京の大学にいた時に取り組んでいた研究の成果が世に認められたので表彰された…

そして、大学で知り合った女性と晴れの日を迎えることができた…

起史《たつし》は、しあわせいっぱいに包まれていた…

そんなしあわせいっぱいになっている中で深刻なもめごとが発生した。

話は、結婚披露宴《ひろうえん》の前半が終わった頃であった。

この時、ビュッフェスタイルのランチタイムになっていた。

出席者は、女性《はなよめさん》の家の親類縁者さまたちと大学にいた時の共通の友人知人さまたちと女性《はなよめさん》の高校時代の友人知人さまたちだけであった。

起史《たつし》の親きょうだいと親類縁者さまたちは、披露宴場にはいなかった。

この時、女性《はなよめさん》は披露宴場にいなかった。

起史《たつし》は、あたりをキョロキョロ見渡しながら心配していた。

そんな中で、深刻なもめごとが発生した。

結婚披露宴場に起史《たつし》の両親・片島富士夫《かたしまふじお》そのみ夫婦と兄・秀祝《ひでのり》(35歳)が突然やって来た。

起史《たつし》の大学時代の友人のひとりが起史《たつし》に対して『親御さんが来てるよ…』と教えたが、それを聞いた起史《たつし》が思い切りブチ切れた。

片島《かたしま》の家の人間《もん》はシャットアウトしたのに…

ふざけるな!!

この時、起史《たつし》のそばにいた女性《はなよめさん》の祖父《おじいさま》が『おとーさんとおかーさんがお祝いに来てくれたのに…』とつらい声で起史《たつし》に言うた。

それが原因で、起史《たつし》はよりし烈な怒りを爆発させた。

ところ変わって、披露宴場の外にて…

ブチ切れた起史《たつし》は、富士夫《ふじお》を突き飛ばして倒したあと『オドレら帰れ!!』と怒鳴りつけた。

そのみは、起史《たつし》に対して怒った声で言うた。

「起史《たつし》!!なんでおとーさんを突き飛ばしたのよ!!」
「ぼくと(花嫁さん)の結婚に言いがかりをつけたから突き飛ばした!!」
「起史《たつし》!!」
「オドレら帰れ!!」

この時、そのみの横にいた秀祝《ひでのり》がよりし烈な怒りを起史《たつし》にぶつけた。

「オドレ起史《クソガキ》!!」
「なんだよ兄《クソバカ》!!」
「オドレは大学でどんな研究しよったんぞ!!研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究…研究と言う言葉を聞くだけでも頭に来るんだよ!!」

この時、もめごとを聞いた女性《はなよめさん》の祖父《おじいさま》がやって来た。

祖父《おじいさま》は、ものすごくつらい声で起史《たつし》と秀祝《ひでのり》のケンカを止めながら言うた。

「やめるんだ!!(マゴ)の晴れの日にいびつなケンカをするな!!」

女性《はなよめさん》の祖父《おじいさま》がケンカを止めたことに対して、そのみが怒った声で言うた。

「(花嫁さんの)祖父《おじいさま》!!なんでいらんことするのよ!!」
「わしは止めただけじゃ…」
「だからなんで止めたのよ!!」
「おだやかに話し合いをしてほしいから止めたんじゃ!!」

秀祝《ひでのり》は、よりし烈な怒りを込めて言うた。

「オドレは、うちらにメイレイする気か!!」

そのみは、ものすごく怒った声で女性《はなよめさん》の祖父《おじいさま》に言うた。

「おだやかに話し合いすることができん原因を作ったのは起史《たつし》なのよ!!起史《たつし》のせいで秀祝《ひでのり》がどれだけガマンしたか…と言うのが分からないのよ!!」
「しかしだな…」
「秀祝《ひでのり》はガマンを強いられたのよ!!大学は行ったけれど、コンパもサークルも…楽しいことはせーーーーーーーーーーーんぶガマンしたのよ!!」
「ガマンしたって…」

秀祝《ひでのり》は、よりし烈な怒りを込めて女性《はなよめさん》の祖父《おじいさま》に言うた。

「オレは、ゼミの単位を取ることだけに集中していたから楽しいことができんかった!!それなのに起史《たつし》は華のキャンパスライフをマンキツしまくった!!だから許せない!!」
「兄さん、あんまりだよ…」

秀祝《ひでのり》は、よりし烈な怒りを込めて起史《たつし》にぶつけた。

「ふざけるな!!えらそうにしやがって!!研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究研究…オドレのせいだ!!オドレのせいだ!!」

(ガツーン!!)

ブチ切れた秀祝《ひでのり》は、グーで起史《たつし》のこめかみを殴りつけた。

「なんでぼくを殴るのだよ!!」
「ふざけるな!!オドレが大学で知り合った女性《はなよめさん》と恋愛結婚したことが不満だから殴った!!」
「あんまりだよ!!」
「だまれ!!」

(ガツーン!!ガツーン!!ガツーン!!)

よりし烈な怒りに震えている秀祝《ひでのり》は、起史《たつし》に対して殴るけるの暴行を加えた。

その後、秀祝《ひでのり》は、友人と一緒に戻って来た女性《はなよめさん》にも殴るけるの暴行を加えた上に、起史《たつし》の大学時代の友人知人たちや女性《はなよめ》さんの高校時代の友人知人や恩師たちや女性《はなよめさん》の親類縁者さまたちにもどぎつい暴行を加えた。

起史《たつし》のせいだ…

起史《たつし》ひとりのせいで、人生が大きく狂った…

ふざけるな!!

よりし烈な怒りに震えている秀祝《ひでのり》は、わけのわからない言葉を言いながら披露宴場で暴れまわった。

その結果、女性《はなよめさん》は、起史《たつし》と結婚することをやめてしまった。

時は、その日の夜10時過ぎであった。

ところ変わって、紙屋町西《かみやちょうにし》にある居酒屋にて…

起史《たつし》は、カウンターの席で酒をのんでいた。

結婚披露宴《ひろうえん》をめちゃくちゃにされた起史《たつし》は、よりし烈な怒りに震えていた。

大学で取り組んでいた研究が世に認められて、表彰された…

研究所の主任に選ばれた…

すべてがジュンチョーに行ってたのに…

片島《いえ》のもんのせいで…

なにもかもがわやになった…

よりし烈な怒りに震えている起史《たつし》は、となりに座っている男性客《きゃく》がのんでいたサッポロ黒ラベルのびんに手をつけた。

となりに座っている男性客《きゃく》が怒った声で起史《たつし》に言うた。

「おいコラ!!コラといよんのが聞こえんのか!!」
「なんだよぅ〜」
「人がのんでいる酒を取るんじゃねえよ!!」
「ふざけるなクソバカヤロウ!!」

(ドカッ!!ゴツーン!!)

ブチ切れた起史《たつし》は、右足で男性客《きゃく》をけとばして倒した。

起史《たつし》にけとばされた男性が《きゃく》は、頭を強く打ち付けた。

「頭がいてーよ…」

この時であった。

近くの席に座っていた4人の構成員《チンピラ》たちが起史《たつし》に詰め寄った。

「コラクソガキャ!!オドレはどこの組織《くみ》の構成員《チンピラ》や!!」
「ふざけるな!!ぶっ殺してやる!!」

よりし烈な怒りに震えている起史《たつし》は、4人の構成員《チンピラ》たちと大乱闘を繰り広げた。

乱闘は、約40分に渡ってつづいた。

その末に…

(ガシャーン!!)

起史《たつし》は、近くにあった硬《かた》い瓶《ボトル》で4人の構成員《チンピラ》の頭を殴りつけたあと店から逃げ出した。

4人のうち、3人が即死した。

残りのひとりは、ひびが入ったスマホで電話をかけた。

「竹宮《アニキ》〜…かたきを討《う》ってくれ…(起史《たつし》がいる東京の)大学《くそがくせい》にやられた…」

電話をかけていた構成員《チンピラ》も力尽きた。

ひびが入ったスマホから、竹宮《たけみや》の叫び声が響いた。

「おい!!どうした!!おい!!なにがあったのだ!!返事しろ!!」

日付が変わって、9月3日の深夜1時過ぎであった。

ところ変わって、西十日市町《にしとおかいちまち》の通りにて…

居酒屋で乱闘を起こした起史《たつし》は、あちこち逃げ回った末にここにたどり着いた。

この時、起史《たつし》は天満川《てんまがわ》沿いにある市道をフラフラとした足取りで歩いていた。

その時であった。

(キーッ!!ドスン!!)

この時、起史《たつし》は向かいから走ってきたマゼンタのトヨタエスティマにはねられた。

車の中から数人の男と竹宮《たけみや》が降りた。

「アニキ!!」
「なんぞぉ~」
「アニキ!!紙屋町の居酒屋で構成員《なかま》を殺したクソガキです。」
「おい、このクソガキを急いで車に乗せろ!!」
「へえ!!」

車にはねられた起史《たつし》は、数人の構成員《チンピラ》たちによって車に乗せられた。

竹宮《たけみや》は、構成員《チンピラ》たちに不気味な声で言うた。

「おいお前ら…一刻も早くこのクソガキを始末しとけ…」
「アニキは乗らないのですか?」
「わしはそのあたりをブラブラしてくるさかいに…あとはたのむぞ。」

このあと、車は現場から走り去った。

それから数分後であった。

竹宮《たけみや》は、血がついた名刺をズボンのポケットから取り出した。

名刺は、肩書が書かれている起史《たつし》の名刺であった。

名刺の裏に、研究の成果が認められて表彰されたことなどが書かれていた。

それを見た竹宮《たけみや》は、気色悪い声で言うた。

「研究の成果が世に認められて表彰されたと言うのに…ヤクザと大乱闘を起こしてパーになってもうた…か…ヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ…」

その一方で、車にはねられた起史《たつし》は構成員《チンピラ》たちに連れ去られたあと行方不明になった。
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