「信じられない」を、「真実の愛」に変えてくれたキミへ
「百々葉」
1限の授業が終わった後、わたしは廊下に出るとひーくんに会った。
「あっ、ひーくん……。昨日は、ごめんなさい……。せっかく、連れてってくれたのに……」
「いいよ。俺こそ、連れ回して悪かったな」
なんだか、謝られるとつらいよ。
ひーくんは、良かれと思って誘ってくれただけなのに。
「その、でもね……。わたし、嫌な気持ちにはなってないから、全く」
なんだか、自分の言っていることが無理やりすぎる。
聞いているひーくんも、わたしがまるで無理にご機嫌取らせようとしていると思ってもしょうがないくらいだな。
「え!? ほんとに!?」
目を見開いて、わたしにググッと詰め寄りながらひーくんは聞き返してくる。
「ほんとほんとっ」
「なら……良かった」
なんだか、ひーくんは安心できたみたい。
それは良かったけれど、翠の言うとおり、なんでひーくんはわたしが喜ぶことを考えたんだろう。
それを聞きたかったけれど、思うように頭と口が動いてくれなかった。