「信じられない」を、「真実の愛」に変えてくれたキミへ
わたしがまだ物心ついていない頃の話は、恵理奈と沙也加が話してくれていたことだったので、わたしは聞いただけで、よく知らない。
お兄ちゃんが亡くなる前までは、お父さんは仕事を頑張って、お母さんを愛していて、わたし達をよく抱っこしてくれていたんだって。
しかし、我が家は夏彦お兄ちゃんが生まれた時から大変だった。
拡張型心筋症。
お医者さんから、生まれたてのお兄ちゃんにその病気があることを告げられ、お父さんもお母さんも必死でお兄ちゃんの命が失われないことを祈った。
お兄ちゃんも、お父さんやお母さんの希望に応えようと必死に、生きようと頑張った。
幼稚園に行くこともできて、小学校にも入れたけれど、間もなくして夏彦お兄ちゃんは再び体調を崩して、息を引き取ることになってしまった。