「信じられない」を、「真実の愛」に変えてくれたキミへ
『お前なんか……!』
お父さんが、お母さんの服を掴んで殴ろうとした途端に、
『おとうさんやめて! おかあさんのこと、たたかないで!』
と、叫びながら恵理奈が飛び出したんだった。
『うるさい!!』
お父さんにドンと突き飛ばされた恵理奈は、その場ですすり泣き始めた。
『恵理奈!』
突き飛ばされた恵理奈を、お母さんが慌てて抱き寄せた。
『えりな!』
そう叫ぶ沙也加も、真っ赤な目からは涙を流していた。
『ふぅ……! さやかっ……』
『ももは……だいじょうぶ、だいじょうぶ』
わたしも沙也加に抱きついて泣いて、わたしを抱きしめていた沙也加も泣き出した。
『揃いも揃ってワンワンうるせえなぁ。3人とも母親に似やがってすぐ泣いて。夏彦は滅多に泣かなかったのにな』
チッ! と盛大な舌打ちを鳴らして、お父さんはバタンとドアを閉めて自分の寝室へ行ってしまった。
『恵理奈、沙也加、百々葉……!』
わたし達をまとめて抱きしめながら、泣くお母さん。