「信じられない」を、「真実の愛」に変えてくれたキミへ
お父さんのモラハラを受け続けたお母さんは、精神状態が不安定になった。
病院でも、精神病と診断されたと分かった後、お父さんは離婚届を突きつけて逃げた。
お父さんが出て行ったのは、いつ頃だっただろう。
わたしが小学生に上がる少し前だっただろうか。
だから、卒園式にも当然見にきてくれなかったし、友達がお父さんも一緒なのことに、気分がモヤモヤとしていた。
お母さんは、その時から度々フラッシュバックが起こっていて治らない。
「こんなお母さんで、ごめんね……」
ときどき、お母さんが泣きながら謝ってくれるけれど、わたし達まで泣きたくなってしまう。
……わたしは、お母さんにDVをしていたお父さんしか知らないから、優しかったお父さんなんて想像がつかない。
一時期は、優しかったお父さんを少しでも覚えている恵理奈や沙也加が羨ましいという気持ちもあったけれど、知っているからこそ余計にお父さんがモラハラ気質へと変わっていた悲しみも強いんじゃないかと思うと、複雑でしょうがなかった。