「信じられない」を、「真実の愛」に変えてくれたキミへ
「まぁ、そういう家庭環境だったって訳……」
とはいいつつ、我が家は不幸だらけという訳でもない。
わたしはちゃんとこうして高校にも通えている訳だし、当番制として料理もして、恵理奈や沙也加と支え合えているんだし。
学校に行けば、翠がわたしと仲良くしてくれているから、笑顔になれる。
だから、ひーくんをなるべく心配させないと話し終えた後に、あはは、と笑ってみせたけれど、話を聞いたひーくんは眉を吊り上げて何も言わない。
「ひー、くん……」
もしかしてひーくん、怒ってる?
わたしが、もしかして怒らせるようなことを言っちゃった……?
言葉遣いが悪かったかな……?
「あの、えっと……」
言葉が濁ってきたと同時に、ひーくんは眉をひそめて下を向いた。
「……わりぃ」
「え?」
「俺、知らなかったよ……。百々葉がそんなつらい目に遭っていたなんて……」
「そ、そんな……。わたし、別に大丈夫だよ。あれから、お父さんも関わってきてないし! いつまでもお父さんの怖いところ、見ていたくないもん。お父さんがいなくなって、良かったよ! うん!」
「百々葉」