「信じられない」を、「真実の愛」に変えてくれたキミへ
なぜか、ひーくんが苦しそうな表情になっていた。
「お前……強がってるだろ」
ひーくんの言葉に、わたしの体は思わずピクンと跳ね上がった。
「つらかったことを、つらかったって言っていいんだよ」
「ひーくん……」
「そりゃさ、百々葉の親父さんもつらかったとは思うよ? せっかく授かった、初めての子供をそんなふうに失うなんて夢にも思っていなかったと思う」
「うん……」
「だけどさ、奥さん責めて百々葉やお姉さん達を見捨てるのは筋違いじゃねぇか?」
それは、わたしもそう思う。
夏彦お兄ちゃんが亡くなった悲しみを、同じように抱えているお母さんに当たり散らして、わたし達を基本的には空気扱いして、自分のことしか考えない。
「百々葉だって……そんな環境で育つのは望んでなかっただろ」
ひーくんの言葉に耳を傾けると、どんどん複雑な気持ちになっていった。
ひーくんにまで苦しみを背負わせた申し訳なさ、話せたことで少し心が軽くなった気持ち、
それでも、1人ぼっちじゃないという安心感もわたしの中では生まれていたのだ。