「信じられない」を、「真実の愛」に変えてくれたキミへ

今日は体育祭だ。

荷物は決められた場所に置いて、わたしも自分の学年のところへ向かう。

早いことに、もう保護者の人も何人かいるみたいだった。



「百々葉!」



今、わたしを呼んだ声は、翠のじゃない。
翠なら、体育祭の実行委員でもうとっくに集まりにいるはずなんだから。



「あっ、沙也加」



見回すと、手を振っているのは沙也加だった。



「頑張ろうね」



沙也加が、わたしの肩をポンと叩いた瞬間だった。



「待ちなさい、忘れ物よ!」



「ああっ! お母さん、ありがとう」



わたしと沙也加の近くを、知らない女の子とお母さんが横切った。


思わず、見てしまう。
全然知らない人を、そんな風にガン見したら失礼なのは分かっているのに……。


でも、周りからすれば親子の風景といえばああいうのが普通なんだろうな……。


わたし達からすれば、あんなのは全然普通じゃない。


いきなり、そばに太陽が近づいてきたんじゃないかって思うくらいに眩しかった。




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