もう、秘密になんて出来ないっ!
「あ、漣。おかえり」
カードキーで「701」と表示してあるドアを開けて入ると、奥から聞き覚えのある声がした。
「あっ、賢太郎(けんたろう)くん?」
「おーっ、みあちゃん!久しぶりっ!」
わたしに優しい笑顔を見せてくれたのは、お兄ちゃんの親友である三浦賢太郎くん。
お兄ちゃんとは幼稚園から一緒で、お兄ちゃんと違って常識人だし、とにかく優しいひと。
…誰にも内緒にしているけれど、わたしの初恋のひと。
会ったの数ヶ月ぶりだから、なんだか恥ずかしい。
「みあちゃん、また綺麗になったんじゃない?モテるでしょっ」
爽やかな笑顔が眩しい。どっかの変態とは大違いだわ。
賢太郎という癒しの存在にジーンと感動していると、そこに必ず水を差すのがお兄ちゃんで。
「…賢太郎。どうやらお前、自分の人生ここで終わらせたいらしいな」
殺気がっ!殺気がっ!
「ハイハイ。お前の荷物もあるんだからサッサと片付けるぞ」
さすが賢太郎くん。兄からの殺気にも動じない。
お兄ちゃんもお兄ちゃんでムウとしながらも賢太郎くんの指示に従って動き始めてる。