もう、秘密になんて出来ないっ!
2.
「…ん、」
いつの間にか開け放たれていたカーテンから朝暘が容赦なくわたしの顔を照らし、ゆっくりと意識が覚醒する。
「ここ…」
上半身を起こし、周りを見渡す。
見慣れないこの景色。
そうだ。引っ越したんだった。
…お兄ちゃんは?
隣で寝ているだろう兄の姿がなかった。
キョロキョロしていると、ふと自分の着ている服がこの目に映った。
昨日着ていた服でもパジャマでもない、ぶかぶかの白いシャツ…。
ええっ!!??
ベッドから飛び出てバタバタと洗面所に駆け込み、鏡を見て愕然(がくぜん)とする。
そこに映っていた姿は____。
ガチャリ。
玄関の開く音がして、今度は玄関に向かって走った。
「ああ、みあ、起きたのか。おはよう。いま朝飯買いに行ってきたところ…」
「なにこれっ!!!」
朝から無駄に爽やかな変態に詰め寄る。
「なにって?」
「わたしのこの格好よっ!なんでお兄ちゃんのワイシャツ着ているのよっ!?」
そう。自分の服を着たまま寝落ちした筈なのに、いまの格好は下着の上から兄のシャツを1枚サラリと着ているだけ。