もう、秘密になんて出来ないっ!
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「みあ、支度出来たか?」
「ちょっと待って。アイラインが納得いかない」
引っ越しに関する手続きと、キッチン用品を揃えに行く事にしたわたし達は朝食を済ませると出掛ける準備に入ったのだが、わたしがいつまでもモタついていた。
「化粧しなくたってみあは充分可愛いのに」
「そう思っているのはお兄ちゃんだけだから」
鏡と睨めっこしているわたしに「ハァ」とため息をついた兄はわたしに近付いてクルッとわたしの体を反転させ兄の方に向くようにすると、ビックリして固まっているわたしからアイライナーを奪うと、スルスルスルっとあっという間に理想としていたラインを描いたのだった。
「え…すご…」
改めて鏡で確認しても完璧。
「ほら、行くぞ」
もう待てないとばかりに兄はわたしの手を引き、家を後にした。