もう、秘密になんて出来ないっ!
変態な兄が横からちょいちょい絡んでくるせいで、あっという間に家を出る時間になってしまった。
バタバタしながらもチラリと兄を見やる。
入学式に出られない親の代わりに兄が保護者として出席するのだけれど…。
今日の兄が身に付けているのは普段見慣れない黒のジャケットとテーパードパンツのセットアップ。インナーには秋らしい色合いのカットソーを着ていて。
なんていうか。……普段より凄く大人っぽくて変にドキドキしてしまう。
「みあ、どうした?」
ぽやんと見惚れているといきなり声を掛けられて、体がビクンッと跳ねる。
「な、なんでもないっ!早く家出よう!?」
わたしは兄に顔を見られないようにして玄関を後にした。
それなのに___
エレベーターを待っている間に「捕まって」しまった。