もう、秘密になんて出来ないっ!
「本郷さんっ!」
式が終わり、教室に移動してからのHRも滞(とどこう)りなくって感じであっという間に放課後。
いそいそと帰り支度を始めていると、知らない声で呼び止められた。
「あ、え…っと。み、溝口(みぞぐち)さん…だっけ?」
「わっ、名前!覚えてくれたのっ?嬉しいっ、ありがとう!」
ふわりと笑う彼女はえくぼが似合う黒髪ボブヘアーの美少女。
「溝口さんこそ、わたしの名前。覚えてくれてありがとう」
「まぁ、本郷さんの場合はメチャクチャ目立っていたからね」
「…ん?」
わたしが目立っていた?どういう意味だろう。
「あー、自覚ないタイプか。こりゃあ彼氏大変だ」
「あの…?」
「あ、こっちの事!本郷さん、連絡先交換しない?」
「え?う、うんっ!いいの?」
「やった!じゃあ…」
お互いスマホを取り出してメッセージアプリから連絡先を交換した。