もう、秘密になんて出来ないっ!

「ありがとう!本郷さん帰りどっち方面?良かったら最寄駅まで一緒に帰らない?」

わぁ、積極的な子だなぁ。でも、嫌な感じしない。

わたしも少しでも積極的になれたらな…。

「ご、ごめん。わたし、車で帰るんだ」

「ええ〜、そうなの?残念!じゃあ校門のところまでならいい?」

「うんっ!」

嬉しくて溝口さんに微笑むと、何故だか周囲がザワついて、溝口さんは顔を赤く染めたのだった。

「え〜!あのイケメンってお兄さんなんだ。だから保護者席に座ってたのかぁ。アタシてっきり本郷さんの彼氏かと思っちゃった!」

「あの…、わたし達ってパッと見て兄妹には見えなかったりするの、かな」

「う〜ん、そうだね。本郷さんとお兄さん似てないし、お兄さんが本郷さんを見つめる眼が妹を見る感じゃないというか、雰囲気が兄妹らしくないというか…」

『似てない』  『兄妹らしくない』

何でだろう。このふたつのワードは幼い頃から周りによく指摘されてきたのだ。
< 38 / 96 >

この作品をシェア

pagetop