もう、秘密になんて出来ないっ!
「ありがとう!本郷さん帰りどっち方面?良かったら最寄駅まで一緒に帰らない?」
わぁ、積極的な子だなぁ。でも、嫌な感じしない。
わたしも少しでも積極的になれたらな…。
「ご、ごめん。わたし、車で帰るんだ」
「ええ〜、そうなの?残念!じゃあ校門のところまでならいい?」
「うんっ!」
嬉しくて溝口さんに微笑むと、何故だか周囲がザワついて、溝口さんは顔を赤く染めたのだった。
「え〜!あのイケメンってお兄さんなんだ。だから保護者席に座ってたのかぁ。アタシてっきり本郷さんの彼氏かと思っちゃった!」
「あの…、わたし達ってパッと見て兄妹には見えなかったりするの、かな」
「う〜ん、そうだね。本郷さんとお兄さん似てないし、お兄さんが本郷さんを見つめる眼が妹を見る感じゃないというか、雰囲気が兄妹らしくないというか…」
『似てない』 『兄妹らしくない』
何でだろう。このふたつのワードは幼い頃から周りによく指摘されてきたのだ。