もう、秘密になんて出来ないっ!

似てないのは、たまたまだと思う。

兄妹らしくないのは、心当たりがあるとすれば兄の変態の域に達するシスコン振りなのだが、溝口さんはまだ兄のわたしへの溺愛っぷりを知らない。

それなのに『兄妹らしくない』とは、どういう事なのだろう。

う〜ん、わからない…。

「本郷さん?…おーい」

「ハッ!え、あ、ごめんねっ!つい自分の世界に入っちゃってたよ」

「アハハ、本郷さんって面白いね。ところであそこ見てよ。お兄さん、女生徒たちに囲まれちゃってるよ」

「えぇ!?」

溝口さんが指差すほうを見れば、確かに。

当の本人はそんなの気にする素振りなんて見せずに、ずっと下を向いてつまらなさそうにスマホを弄っている。

「はぁー、すごいよね。あんなイケメンなかなか居ないもんな」

「…お兄ちゃん」

まだ兄が待っているところから距離があるというのに。

まるで、わたしの声が聞こえたかのようなタイミングで兄はパッと顔を上げた。

そして、兄の視線とわたしの視線が絡む。


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