もう、秘密になんて出来ないっ!
なんで母さんも父さんもお兄ちゃんの肩を持つのだろう。
…なんか、頭痛くなってきた…。
力なくダイニングテーブルに突っ伏すとガチャリと玄関のドアが開く音がして。
「誰か」がわたしたちがいるリビングに入ってきた。
それが誰かなんて、解りきっているのだけれど。
185cmはある長身、頭身は余裕に9頭身。
清潔感のある黒髪のサラサラヘアーに服装は今の流行りを適度に取り入れつつも爽やかさを忘れないコーディネート。
何よりもその整い過ぎた顔立ち。
女性が寄ってこない訳がないし、何かとっても癪(しゃく)だけれど大学内にファンクラブもあるらしい。
外ではクールなキャラで通しているらしいけれど、実際の兄はというと__。
「可愛い可愛い俺のみあ。明日から一緒に暮らせるなんて兄ちゃん夢のようだよ。これが幸せって言うんだね」
言うなりわたしが座っている椅子ごと抱きしめられた。
わたしは抗わない代わりに盛大なため息をつく。
…ん?待って。明日から暮らすって言わなかった?
「お、お兄ちゃん…?明日から暮らすって…うそでしょ?」