もう、秘密になんて出来ないっ!

相手は『お兄ちゃん』なのに。

許されないことなのに…。

そもそもおかしいのは今朝からだった。

いつもと違う大人の色気漂う兄にときめいてしまった。

意識し過ぎて兄のことを直視出来ないまま誰も乗っていないエレベーターに乗ると、わたしに覆(おお)い被(かぶ)さるような形になった兄がわたしの耳に唇を寄せ、

「…みあのこと、一生離さねぇから覚悟しとけよ」

兄からの甘い言葉と、ふっと耳にかかる熱い息にどうにかなりそうだった。

…わたしのこと一生離さないって、どういう意味なんだろう。

いや、言葉通りの意味だよね…。

さっきから心臓の音がうるさい。

わたしはきっとまだ男の人に免疫がないから、兄相手でもときめいてしまうだけだ。

そうに違いない!

やっぱり免疫をつける為にもわたしには『彼氏』という存在が必要だ。

母さんには彼氏は作るなと散々言われたけれど、このままでは兄のことを好きになってしまいかねない。

よしっ!彼氏作るぞぉっ!!!

…どうやったら彼氏って作れるんだ?

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