もう、秘密になんて出来ないっ!
さすがの兄も今日は疲れたのか若干ヨロヨロしながら冷蔵庫に向かい、ミネラルウォーターを取り出すとそのまま冷蔵庫に寄りかかった。
「え、や、お、オシャレとか頑張ろうかなぁって…」
「…それだけ?」
「そ、それだけだよ?今までわたしオシャレに無頓着だったし、高校デビューもいいかなって」
「ふーん」
「わたし、お風呂入ってくるねっ、」
何かまだもの言いたげな兄を避けて、わたしは脱衣所に小走りで向かった。
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「……」
お風呂から上がって寝る支度を整えて寝室に来てみれば、髪もろくに乾かさず、布団も掛けていない状態で寝ている兄が…。
これをこのまま放っておいたら確実に風邪を引くパターンだ。
「お兄ちゃん、」
「……」
返ってくるのは規則正しい寝息のみ。
「お兄ちゃん、風邪引くから起きて?」
遠慮がちに体をゆさゆさ揺らしてみてもピクリともしない。
…どうしよう。全然起きないんだけど。
兄の傍(かたわ)らに座り込み、深いため息をつく。
「…みあ、」
「ひゃあっ」
寝ているはずの兄に突然腰に腕を絡められて、思わず声が出てしまった。