もう、秘密になんて出来ないっ!
「なによ、ジロジロ見ちゃって」
「いや、今日も志穂ちゃん可愛いなぁと思って見惚れてた」
「ふふ、ありがと。でも、みあだって充分可愛いじゃない。男受けしそうだし」
「そうかなぁ。オシャレ勉強しようと思ったんだけど結局よくわからなくて…」
そう言って自分の服装に目を落とす。
とても大きい白い襟(えり)がついたタータンチェック柄のライトグレーのAラインワンピースに白のハイソックスに黒の厚底ローファー。
髪はおろして赤のベルベット調のバレットをつけてメイクは気持ち程度。
これが今のわたしの限界だったんだけれど…。
「なんか、ダサいよね。わたし、」
「そんなことないって!可愛いよっ。男達に紹介するのが勿体無いぐらい」
ニッコリ屈託なく笑う志穂ちゃんが愛おしくて、ぎゅっと抱きつくと
「志穂ちゃん大好き」
ありったけの感謝の気持ちを伝えた。
「そういう言葉は今から会う男達に言ってあげなぁ?クッソ喜ぶから」
ケラケラと可笑しそうに笑う志穂ちゃんとは対照的に、わたしの表情は途端に曇る。