もう、秘密になんて出来ないっ!
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「じゃあ母さん、俺たちそろそろ行くわ。父さんにもよろしく言っておいて」
「ええ。引っ越し手伝えなくてごめんなさいね。父さんもどうしても休めない仕事抱えていて。漣、みあのこと頼むわよ。…って、みあ?アンタなんでそんなにゲッソリしているのよ?」
「…お兄ちゃんに聞いて」
「昨夜のみあは激しく乱れたから疲れているんだよな?」
「そういう言い回ししないでっ!!!」
「漣。またみあの部屋に忍び込んだのね…」
そう。荷造りを終え、あとは寝るだけとなったわたしが歯を磨くために部屋を離れた数分の間に兄は無断でわたしの部屋に入り、こともあろうかわたしのベッドで寝ようとしていたのだ。
そんな兄を部屋から追い出すのに途方もない労力を要し、今朝になってもその疲れが取れずにいるというわけ。
「みあ、母さん漣に少し話しがあるから先に車に乗ってなさい」
「わかった。母さん、もうこんな事がないようにお兄ちゃんにキツく言ってね?」
「はいはい」
言うなり母さんとお兄ちゃんはわたしが乗っている車から少し離れているところでコソコソ話しを始めた。