もう、秘密になんて出来ないっ!
母さんは基本的にお兄ちゃんにあまい。
あのふたりを見ていると時々親子じゃなくて気心の知れた親友のように映ることがある。
…それが、ほんのちょっとだけ羨ましく思ったりして。
そんな事を考えていると話しを終えたらしいふたりがこちらへ向かってきて、お兄ちゃんが素早く運転席に座る。
「待たせたね。行こうか、みあ」
「ん、」
「あ、母さん達が飛行機に乗るの夜遅い時間だから見送りは要らないからね。それじゃあ、漣、みあ、元気でねっ!!!」
「母さんも、元気でっ!行ってらっしゃい!!!」
母さんは少し瞳を潤(うる)ませてわたしたちに大きく手を振った。
それを見てわたしも泣きそうになりながら手を振りかえして、車は静かに動き出した。