もう、秘密になんて出来ないっ!
…気付かないフリしているけれど、見られている。
自意識過剰ならどんなにいいかって思わずにはいられない程に。
大学の正門近くにいる生徒らしき人達から、多くの視線を浴びている。
特に男の人達が、私を見ては何だかソワソワしているように見えた。
やっぱり高校生がひとりで大学になんて来たら場違いすぎて浮くよね…。
居心地悪いな。…漣、早く来ないかな。
俯いて、なんとなくもじもじしているとフッと視界が暗くなり、漣だとばかり思ったわたしは勢いよく顔を上げた。
「れ___、」
「きみ可愛いね。ひとり?」
影の主は漣とはかけ離れた、チャラい男の人。
いやらしい目でわたしの全身を舐め回すように見てはニタニタと笑って、気持ち悪い。
わたしはすぐに視線を外したが、男は更に絡んでくる。
「俺、きみのこと何処かで会ったことある気がするんだよね。あ、もしかして前世で俺の嫁だったとか?ヒャハハハッ」
「…失礼します」
限界を感じたわたしはいったんこの場を離れようとするも男に腕を強く掴まれてしまった。