もう、秘密になんて出来ないっ!
「漣、もういいよっ。わたし、もう大丈夫だから。漣がこうして来てくれたから。だから大丈夫。ね?」
「みあ…」
あ、いつもの表情に戻った。
ホッとしていると、漣は捻り上げていた男の腕を離すとそのまま男を強く突き飛ばした。
そして今度は、まるで宝物を包むかのようにわたしをその腕のなかに閉じ込めた。
「ごめんな、来るの遅くなって。怖かったよな」
「確かに怖い思いはしたけど平気だよ。こうして漣が助けに来てくれたんだもん」
「っっ、みあ、あんま煽んなっ。いつまでもそんな顔していると今ここでキスするぞ」
「っ!そんな顔って言われたって自分じゃわかんないよ!って、漣!ダメだよっ」
さっきとは打って変わって何故かご機嫌になった漣がわたしに迫り、今度は別の意味で周囲がざわざわし始めた。
「漣に、みあ…?」
その最中(さなか)に、男がわたし達の名を口にして、合点がいったように、
「…お前らっ!!本郷兄妹!!!」
周囲のざわめきすら掻き消すような声で、叫んだ。