もう、秘密になんて出来ないっ!

「思い出したぞっ!何処かで会った気がしていたんだよ!忘れたとは言わせないぜ?俺ら同小だったよな!?」

「…忘れる以前にお前なんか知らない」

「わたしも、すみません。ちょっと見覚えが…うーん、」

キス寸前の体勢のまま、わたし達は男をシラけた目で一瞥(いちべつ)した。

「っっ!!…フッ、まぁそんな事はどうでもいいさっ」

「「……」」

わたし達も周囲の人達も何とも言えない表情で男を無言で哀(あわ)れんだ。

「それよりもだ!見ろよ、こいつら兄妹同士のくせに今何をしようとしている?キスしようとしているんだぞ!?天下のモテ男である漣様の好きな女が実の妹だと!気持ち悪ぃ!!!」

「っ、」

一番恐れていた事態になってしまった。

しかも漣が在籍している大学内で、こんな形で。

どうにかして兄妹のちょっとした『おふざけ』という形に収めなくては。

…でも、本当にそれでいいの?

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