もう、秘密になんて出来ないっ!


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「母さん達と離れて寂しい?」

前を向きながらお兄ちゃんが優しく声をかけてきた。

「…5年も会えないと思うとね…」

シュンと萎(しぼ)んだ顔をしたまま俯く。

そんなわたしの頭を片手で軽くポンポンと撫でると兄は、

「大丈夫だよ、みあ。母さん達が居ない寂しさを忘れるほど兄ちゃんがみあのこと愛してあげるから」

極上の笑みをこちらに向けてきた。

「お兄ちゃんっ!そろそろその変態発言やめ__っ」

「みあ。俺たちの愛の巣に着いたよ」

「へ?もう?」

去年の誕生日に兄からプレゼントされた見るからに高そうな腕時計で時刻を確認すると、実家を出発してから1時間ぐらいしか経っていない。

兄が住むアパートは実家から3時間はかかるはずなのに。

車から降りて確認すれば、そこに聳(そび)え立っていたのは小ぢんまりとしたアパートではなく、立派過ぎるぐらいのデザイナーズマンションだった。

なぜ。
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