もう、秘密になんて出来ないっ!
「は…?」
思ってもみなかった応えが返ってきて男がポカーンとする。
「そう言うことは、俺の戸籍見てから言えよ」
「こ、戸籍…?」
「そ。俺は本郷家の養子。つまり両親ともみあとも血縁関係はないワケ。ついでに言えばこの間その養子の籍も抜いたからみあとはもう赤の他人。だ・か・ら、人前でイチャつこうがキスしようが誰にも後ろ指さされる筋合いはねぇの」
「嘘だっ!お前、いまでも『本郷』を名乗っているじゃないかっ!!」
「お前って本当にバカなのな。養子縁組してから7年以上経過していて離縁届を提出してから3ヶ月以内に手続きすれば養親だった人の名字を名乗ってもいいんだよ」
「そ、そんな…」
飄々(ひょうひょう)と話す漣に愕然とする男。
わたしはというと、そんな男よりも大愕然としてしまっていた。
情報が多い。
とてもこころが漣の話す事実についていけない。
でも、でも。混乱しながらもハッキリ解ったこと。
それは__、
「漣、それじゃあわたし達___っ」
わたしの問いを最後まで聞く事なく、『これが答えだ』とでも言うように漣は優しい微笑みと共に自身の唇をわたしのそれに重ねた。