推しはまだ見ぬ2.5次元
「さ、笹本……?」
気まずい。
「あ、ううん、あの、ごめん!」
思わず謝る。
だって、さすがに告白のシーンだもん、邪魔しちゃったってことだよね。
「いや、違うんだ、これは……!」
慌てたように河村が手を振る。
「わ、私、すぐ消えるからさ、だからその、頑張って!」
「いや、だから違うんだって、俺、別に告白とかしてるんじゃないから!」
「へ……?」
「ちゃんと話すから……こっち、来いよ」
河村は恥ずかしそうに頭をかき、手招きをした。
***
「えっ……声優に!?」
グラウンドに降りるための階段に腰掛けて、私は河村の話を聞いていた。
「声優って、あの声優? アニメとか映画とかの!?」
「そうだよ! くそ……なんで笹本がここに来るんだよ……しくったわ……」
そう言って河村は手で顔を覆った。