野良ヴァンパイアに吸血契約されちゃいました
私はくるりと回れ右してバレーボールを取りに行く。それに気が付いた茉莉花が「ちぇ〜、面白くないな〜」と言った。


そんなに面白がられても困る。私は見せ物ではない。


いざバレーボールをしようとコートに入ると、私は仰天した。


相手コートの人も自分コートの人もいなかったからだ。正確にいうと、男子の所にいる。きっと男子の試合観戦をしている。


目当ては多分ルカくんだ。ここまできてまだ迷惑をかけられるのか…。私は項垂れた。



「心羽〜、どうする?誰もバレーしようとしてないよ」



「はぁ、仕方ない。男子のとこに行こ」



「やった〜。今日は体育やらなくて済む〜」



呑気な茉莉花とは裏腹に私はしょぼんとしながら歩いた。


いざ男子の所に来てみるとそこだけ空気が違うかのような盛り上がり様だった。


「ルカくんがんばれ〜‼︎」という女子の歓声。


「ルカ、パスパス」という男子たちの掛け声。


ダンッという音と共にシュートが決まった。


どうやらルカくんのチームに得点が入ったらしい。点差を見るとルカくんのチームが比較的得点を稼いでいる。その差は20点。


大逆転することも可能だろうが、それが出来たら苦労しないだろう。


結構な時間試合をしたところで、ルカくんが立ち止まった。休憩かな?と思っていたのだが…。
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