野良ヴァンパイアに吸血契約されちゃいました
って、顔を赤く染めている場合ではない。


この状況はまずい。非常にまずい。


女子からの痛々しい視線、男子たちのニヤける顔。そして清々しいルカくん!


なんでこんなに笑顔でいられる訳?


混乱した私は思わず茉莉花に助けを求め、後ろを振り向いた。すると、それを分かっていたかのようにこちらをスッと見据えていた。



「心羽は私のだから。天堂くんにはあげないから」



違う〜!茉莉花違うよ。対抗してどうするのよ。てか私、誰のものでもないし。



「マジか…先約がいたとは…でも俺は諦めないぜ」



ほら〜。ルカくんが本気出しちゃったじゃん。


もういいや。どうとでもなれ。そう思って私は「私は茉莉花のだから」と言ってしまった。



「やった〜心羽〜私を選んでくれてありがとう」



「ちょっと待って、俺フラれた?」



「う、うん。振った」



「へ〜、契約のこと忘れてないよね?」



う、思わず顔を顰(しか)めた。そうだった。
一週間に一回は血を吸わせなきゃいけないんだった。


私が混乱していると、何も知らないクラスメイトが「契約?」と不審に思って聞き返してきた。



「なんでもないよっ」
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