野良ヴァンパイアに吸血契約されちゃいました
咄嗟に口から出てきた。流石に知られるのはまずい。ルカくんがヴァンパイアで私を好きにさせようと奮闘中ってことを。そして、一生添い遂げなきゃいけないってことも。


あわあわしていたら終わりのチャイムが鳴った。


助かった…。


「終わりにするぞ〜」という体育教師の掛け声と共にみんながゾロゾロと歩き始めた。


普通に歩き始めたのではなく、女子も男子もルカくんを囲んで歩き始めた。その理由は明白だろう。誰だって詳しく聞きたいに決まっている。


私はというと、茉莉花に腕を絡まれて歩いていた。「心羽は私の〜」という変な鼻歌を歌いながら。


ひどく恥ずかしかったが誰も聞いてる人はいない。


みんなルカくんの話題でもちきりだ。


そして、ルカくんの周りには人が群がり、当の本人は質問攻めにあっている。


例に漏れず、私も茉莉花に質問攻めにされていた。



「初対面なのになんで心羽の名前知ってたんだろね」



知り合いだからです。



「ルカくんとは元から知り合いだったの?」



う、鋭い…。



「ぶっちゃけ、ルカくんのことどう思ってんの?」



どうとも思ってません。


いつもの茉莉花じゃ有り得ないほどの饒舌っぷりだ。


ふと視線を感じたので振り返ると、一軍女子の子たちが私のことを睨んでいた。バチリと目線が合う。
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