野良ヴァンパイアに吸血契約されちゃいました
まずい…。



「なんでよりによって姫野さんなのよ!」



「そうよそうよ、姫野さんなんかよりも恵美(えみ)の方が可愛いじゃない」



ハイ、ワタシモソウオモイマス。



「うるせぇ!」



咄嗟にルカくんが低い声で叫んだ。とてつもない迫力に思わず怖気付いてしまう。



「俺のことを悪く言うのはいいけど心羽のことを悪く言う奴は絶対に許さねぇ」



きゅんッと心臓が跳ねた…気がする。


ルカくんのその言葉に、一軍女子はもちろん、クラス全体が静まり返った。


そこに入ってきた先生が、驚いた顔をしていた。挙句に「今、休み時間だよな?」なんて聞いてきた。


これは私が答えるしかないと思っていたが後ろから声がした。



「そうっす」



この空気を作り出した張本人、ルカくんの声だった。よくこの状況で元気な声出せるな…。



「そ、そうか。天堂、クラスに馴染めているようで良かったな」



「あざっす」



そこまで言ったところでチャイムが鳴った。



「よーし、これから授業を始めるぞ。みんな席つけ〜」



「心羽また後で」と言い残し、茉莉花は自分の席へ戻って行った。


授業が始まって少し経った頃から背中が痛い。物理的にではなくて、感覚的に。どうも視線が突き刺さっているような…。
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