野良ヴァンパイアに吸血契約されちゃいました
「うん」


軽い返事をして私は教室に入った。みんなからの視線が痛かったがそんなことはどうでも良かった。



「大丈夫?」



私たちの問題で茉莉花に心配をかけてしまった。「大丈夫、ありがとう」とだけ伝え、私は席についた。









「心羽、朝からツンツンしてる」



「え、そう?」



「うん、私には分かる」



普通に振る舞っていたつもりなんだけどな〜。


確かに私は朝から機嫌が悪い。理由は自分でもよく分かってない。分かっていたら苦労しないし。


あれからルカくんは何度も話しかけてきた。それを私はフル無視してる。


無視と言っても、「うん」、「へ〜」とかそうやって答えてるだけ。


そんなこんなしていたら放課後になってしまっていた。


今日は部活がない。だから、いざ茉莉花と帰ろうと思っていたとき…。



「ちょっと心羽借りていい?てか借りてく」



急に誰かに腕を引っ張られた。この声からして、多分ルカくんだ。


後ろを振り返るとやっぱりルカくんの姿があった。



「なに?」



つい素気なく答えてしまう。そんな私の反応なんてお構いなしに「心羽は着いてきて」と言われた。


ズカズカと歩を進めていくルカくん。それにただただ引っ張られる私。茉莉花のキョトンとした顔。男子の「やるな〜」って声。女子からの痛々しい目線。
< 24 / 60 >

この作品をシェア

pagetop