野良ヴァンパイアに吸血契約されちゃいました
「首から、血を吸わせて」



今度はハッキリとルカくんが言った。



「わ、分かった」



戸惑いつつルカくんを起こし、己の首を差し出した。


優しく首に触れられる。チュッとキスを落としペロリと舐め上げられた。


ルカくんが首に牙を立てた。


私からはルカくんの顔が見えない。でもきっと今笑ってる。というか、微笑んでる。


あ〜、これから吸われちゃうんだ。



プス、ジュ〜。



「ん、」


やば、変な声出た。すぐさま口を手で押さえる。


そんなことはお構いなしに血を吸い続けられた。


ゾクゾクする。


ジュ〜


なかなか口を離してくれない。こんなの、貧血になっちゃうよ。


そう思ってから3秒後ルカくんの唇が私の首から離れた。



「ごめん、貧血で倒れた」



「う、うん。もう大丈夫なの?」



「さっき心羽の血を吸ったから大丈夫」



「そう、よかった…」



ここであることに気付いた。血を飲ませなかったのは私だ。つまり私のせいでルカくんは倒れたのだ。朝からルカくんはずっと血を欲しがってた。それを私は無視し続けた。


「心羽、」


ルカくんの一声で現実に引き込まれた。



「心羽、」ともう一度ルカくんが私の名前を呼んだ。今度は優しく、さとすように。
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